2018 Fiscal Year Annual Research Report
希土類材料によるCO2のオンサイト貯蔵および光還元系の構築
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18H01788
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺村 謙太郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80401131)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CO2の光還元 / H2O / 希土類 / イッテルビウム / プラセオジム |
Outline of Annual Research Achievements |
H2Oを電子源とするCO2の光還元はH2Oの光分解によるH2生成と競争的に進行し,前者に比べて後者の反応の方が進行しやすいことが知られている.すなわち,反応系にH2Oが共存する場合は,CO2に電子を与えるよりも,H+に電子を与える方が進行しやすいため,活性サイトへ速やかにCO2を供給する仕掛けを作る必要がある.これまでに我々はH2Oを電子源とするCO2の光還元において高い選択性を維持するには光触媒上の塩基点へのCO2の吸着が高効率化のキーステップであることを見出している.これを作業仮説として,本研究では光触媒上にCO2が吸着可能な塩基点を修飾することを検討する.2018年度においては,弱い塩基として機能する希土類材料について一般的な光触媒であるGa2O3上に修飾を行った.希土類元素はSc, Yの2元素とLaからLuまでの15元素の計17元素であり,その酸化物は様々な固体塩基性(量,強度,性質)を示すものが多い.この中で希土類元素の中でプラセオジム(Pr)やイッテルビウム(Yb)を添加した光触媒が高いCOの生成速度およびCOへの選択性を示すことを見出した.Agを助触媒として添加したAg/Pr/Ga2O3およびAg/Yb/Ga2O3のCOへの生成速度はそれぞれ182μmol/hおよび209μmol/hであった.また,その時のCOへの選択性はそれぞれ86.1%および59.2%であった.Ag/Yb/Ga2O3を用いた場合のCOへの選択性を向上させるため,Znの添加を検討したところ,3.0mol%のZnを添加したとき,COへの選択性は80%に増加した.さらにタングステンブロンズ構造のA2BTa5O15のBサイトに希土類を用いたK2RETa5O15を合成し,中でもイッテルビウム(Y)を導入したK2YTa5O15が高いCO生成速度およびCOへの選択性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画においては,「コンポジット材料のスクリーニング及び精密合成」を掲げていた.希土類元素はSc, Yの2元素とLaからLuまでの15元素の計17元素であり,おおむね順調にスクリーニングは終了した.この中でPrとYbに元素を絞って,添加方法やその後の処理条件(焼成温度,焼成時間,担持量など)を検討することができた.さらに,次年度の検討事項である「コンポジット材料の特性評価による希土類種の同定」を行うための装置の立ち上げ,整備などを最適化と同時並行で行うことができたため,研究は順調に進捗しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究計画では「コンポジット材料の特性評価による希土類種の同定」を行うとしている.希土類種の同定に必要なXRD, UV-Vis DRS, BET比表面積分析, XPS, XAFS, SEM,TEMなどの特性評価を行う装置に関してはすでに準備が終了している.また,.添加した希土類材料が持つ塩基点の量および強度を調べるためのCO2-TPD装置も立ち上げているため,来年度の計画を遂行するための準備は整っている.
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