2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H01792
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河原 正浩 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50345097)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 相互作用 / スクリーニング / シグナル伝達 / 動物細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質間相互作用を標的とした創薬は近年新しい概念として注目されており、生きた細胞内のcrudeな環境下で創薬の候補ペプチドや化合物を簡便にスクリーニングできる手法の開発が求められている。そこで本研究ではレポーター分子として受容体やその下流のシグナル伝達分子を用い、細胞内の蛋白質間相互作用に伴う細胞の「増殖」の有無をリードアウトとして検出する新しいプラットフォーム技術を確立する。このとき、蛋白質間相互作用の検出感度が調節可能であるように分子デザインを行い、検出されるアフィニティーに閾値を設けながらスクリーニングを行うことで、優れた親和性を持つ創薬分子を親和性成熟によって合理的に得る手法を開発する。そして実際にガンや感染症の原因蛋白質をターゲットとしてスクリーニングを行い、複数のターゲットに対して創薬シーズとなる化合物・ペプチドを得ることを目指す。 本年度は、増殖シグナルの伝達に重要なRas/MAPキナーゼ経路を膜局在により活性化できるシグナル伝達分子SOSを用いた系について検証を行った。相互作用を検出したい蛋白質ペアをbait, preyとし、SOSをbaitのC末端側に連結する。preyはC末端側に赤色蛍光蛋白質mCherryを介し膜アンカリング配列と融合して膜に局在させる。baitとpreyの間で相互作用があると、これらはヘテロ二量体を膜近傍で形成することが予想されるが、bait-prey間相互作用がない場合、SOSが充分に膜に近接せず、内在性のRasを活性化できない。一方、bait-prey間相互作用があればSOSは充分に膜に局在し、内在性のRasを活性化できると考えられる。実際、baitとしてGFP、preyとして抗GFP抗体を用いて実験を行った結果、相互作用依存的な細胞増殖が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はRas/MAPキナーゼ経路を膜局在により活性化できるシグナル伝達分子SOSを用いた系の構築と、細胞増殖を検出原理とする結合性評価系の検証が目標であった。実際にGFPと抗GFP抗体クローンを用いて実験した結果、相互作用依存的な細胞増殖活性が見られたことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本系をベースにして抗体の抗原との相互作用インターフェース部分のアミノ酸残基をランダム化したライブラリーを調製し、細胞増殖を指標としたスクリーニングを行うことで、細胞内での抗体親和性成熟を実現できるかを検証する。 また、本系を疾患関連蛋白質に適用し、化合物ライブラリースクリーニングへの応用可能性についても検証する。
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Research Products
(11 results)