2018 Fiscal Year Annual Research Report
Anomalous optical properties by circularly polarized light in low-dimensional materials
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18H01810
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 理一郎 東北大学, 理学研究科, 教授 (00178518)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 円偏光 / バレー偏極 / 低次元物質 / 光吸収 / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 第一原理計算プログラムの更新に合わせて、同プログラムを用いる共鳴ラマン分光スペクトルを計算するプログラムを修正した。修正したプログラムを用いて、過剰に電子をドープし、状態発散するM点のエネルギーを超えるフェルミエネルギーのグラフェンのラマンスペクトルを計算した。実験で観測された、通常と反対のラマンスペクトル形状の非対称性(ブライト・ウイグナーファノ効果)の起源を理論的に解明して、Nano Lett. に発表した。 (2) 共鳴ラマン分光における角運動量保存則の論文をPhys. Rev. Bに発表した。この理論的結果を実験的に検証するために、北京大学のグループと共同研究を行っている。いくつかの低次元物質が理論的な予想を再現した。現在論文にまとめているところである。また遷移金属ダイカルコゲナイド物質である、WS2の紫外線を用いた共鳴ラマン分光を台湾の師範大学グループと共同研究を行った。その成果を Sci. Rep. に報告した。 (3) グラフェンのエッジプラズモンが、回転する電磁場を発生することを理論的に見出し、Phys. Rev. Bに発表した。 (4) 誘電体多層膜に光を通したときに、界面の多重反射によって電場の大きさが増大する。各層の大きさを光の波長の4分の1にした場合には、2種類の多層膜をランダムな順番に並べたとしても、電場の増強効果を解析的に求められることを見出した。この結果をPhys. Rev. Appl. に発表した。 (5)ハルデン模型の電子状態が、100%円偏光二色性を示すことを見出した。この結果を J. Phys. Soc. Jpn. に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018 年は、研究実績のほかにも論文を発表して、合計7編の論文を発表している。これらは、研究予算の繰り越しがあったのにも関わらず、計画が順調に推移していると考えられる。また、ドイツ、中国、台湾、米国との実験グループと共同研究を進めていて、この研究成果が論文として発表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
国際共同研究が、コロナウイルスの影響で進捗状況が進んでいない(米国と中国で、大学に行けないので実験ができない状況)ので、研究代表者の理論的な計算を主体とした、本来の計画研究を推進していく。 当初の計画にあった、(1)遷移金属ダイカルコゲナイド物質におけるELの起源、(2)ドープしたカーボンナノチューブの円偏光物性が今後の研究の主体となる。
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