2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elemental study of spiking dymamics from organic/carbon nanotube junction and application for informatics
Project/Area Number |
18H01814
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 恵 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50437373)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニューロモルフィック / 分子デバイス / カーボンナノチューブ / POM / スパイク / コンダクタンススイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
原子や分子といったナノの世界の揺らぎやダイナミクスを、信号検出や情報処理、複雑計算に活用することは、現代科学が今直面している大きく魅力的な課題である。本研究ではナノ材料、特に有機分子とナノカーボン材料の接合が含有する電子状態揺らぎや応答ダイナミクス現象の物理的機構を解明する。これらのダイナミクス応答は、自律的に最適制御や音声認識が出来るニューラルネット計算への応用が可能である。 初年度である本年度は、金属錯体分子としてポリ酸分子であるPmO12分子のナノ接点構造をカーボンナノチューブ素子内に作成することに成功した。電極のサイズを小さくし、カーボンナノチューブの電気泳動時間を短かくすることで、たった一つの分子接点を持つ素子を再現性良く作成する条件を見つけ出した。 また、接点の電気伝導度が室温で大きく揺らいでおり、高い抵抗値を示すオフ状態と一定の低い抵抗値を示すオン状態、その中間の不安定状態を取ることが明らかになり、現在その現象の物理化学的な起源を検証中である。素子の応答は外部雰囲気に影響を強く受け、分子の酸化還元応答と分子周辺のカウンターイオン及びプロトンの解離結合、移動分散のモデルを構築した。 またこのような大きな電気伝導度の変化は時間的にミリ秒から数秒と非常に長く、このゆっくりとした揺らぎと、非常に短い時間に多くの電荷流入を発生させるスパイクダイナミクスとの関係考察し、論文に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
金属錯体分子としてポリ酸分子のナノ接点構造をカーボンナノチューブ素子内に作成することに成功した。電極のサイズを小さくし、カーボンナノチューブの電気泳動時間を短かくすることで、たった一つの分子接点を持つ素子を再現性良く作成する条件を見つけ出した。このことにより、以下の現象の観察確率が飛躍的に向上し、データの信頼性が飛躍的に上った。 素子に一分子接点が作成されている素子はその電気伝導度が室温で大きく揺らいでおり、高い抵抗値を示すオフ状態と一定の低い抵抗値を示すオン状態、その中間の不安定状態を取ることが明確に現われた。またその応答は外部雰囲気に影響を強く受け、真空中、大気中、蒸気雰囲気中で明確な差を示した。分子の酸化還元応答と分子周辺のカウンターイオン及び水分子の解離によるプロトンの移動分散がその要因であると推察される。 今年度発見したこの一分子のコンダクタンススイッチング現象は、これまで報告されていない種類のものである。外部からの信号による制御は出来ないが、科学現象的には非常に重要な発見となる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度発見したこの一分子のコンダクタンススイッチング現象は、これまで報告されていない種類のものである。科学現象的には非常に重要な発見となる可能性がある。よってその物理化学的な機構の解明が早急に求められる。 これまでに試した真空中、大気中、蒸気雰囲気中以外の条件による応答の変化を計測しその傾向を取得する。また、分子の電子状態や酸化還元現象に伴なう伝導度の変化を検証可能な理論計算を探し、試す。
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