2020 Fiscal Year Annual Research Report
Proposal and demonstration of high sensitivity device using spin current
Project/Area Number |
18H01815
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒川 智紀 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00706757)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | スピン流 / マイクロ波 / 円偏波 / スピントロにクス / 空洞共振器 / 2DEG |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー干渉計やSQUIDなどの超高感度デバイスは、我々の生活を革新的に変化させてきた。これらはコヒーレンスの高い(位相の揃った)波の干渉を利用することで人間の直感を凌駕する感度を実現している。一方で近年、次世代デバイスの実現を目的として、スピン流という電子のスピンの自由度の流れが注目されている。しかし、いかにして大きなスピン流を得るかという研究が盛んに行われる一方で、そのコヒーレンスに関する理解は進んでいない。 そこで本研究はスピン流のコヒーレンスに注目し、スピン流を用いた超高感度デバイス実現に向け、次の2つの方向で研究を進める。まず、スピン流のコヒーレンスを高める方法を構築し、次世代の超高感度デバイスに繋げる基礎研究を行う。さらに、スピン流を既存のメーザーに利用し、小型かつ簡便な新型メーザーを開発を目指す。 スピン流を生成する方法の一つに強磁性体から非磁性体に電流を注入するものがある。このデバイスのスピン流生成効率は接合界面の質に大きく左右される。そこで、この接合の質を評価するためにショット雑音の測定を行い、ショット雑音測定が接合の質を評価する上で有用であることを実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、前述した目的を達成するために、スピン流のエネルギー分布を冷却する必要がある。しかし、微細な加工を施した試料ではスピン流生成による発熱を抑えることが難しいことが分かってきた。その原因の一つは、開発した円偏波空洞共振器のマイクロ波モードと微細加工した微小な試料との相互作用が小さいことである。一方、この手法はミリサイズのバルクの二次元電子系基板とは十分な相互作用が実現できた。 特に、GaAs/AlGaAs界面の二次元電子系と円偏光マイクロ波の相互作用の結果、二次元電子系の動的電導度の実部・虚部の評価に成功した。これによって、高周波応答の際のエネルギーの損失を定量的に評価することが可能になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はバルクの二次元電子系基板に注目した研究を行う。ここでは、空洞共振器内に配置した二次元電子系基板に光ファイバーを通して円偏波光を照射し、スピン蓄積状態を生成する。さらに、この状態で円偏波したマイクロ波との相互作用を研究する。 以上の研究で対象としている系は非磁性金属中に生成された伝導電子を介したスピン流である。一方、磁性絶縁体中のスピンの集団励起であるマグノンを介してもスピン流が流れることが知られている。そこで、薄膜化した磁性体・YIG単結晶球を対象として、円偏波マイクロ波との相互作用を研究する。
|
Research Products
(15 results)