2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Infrared-light responsive photocatalyst for the usage of untapped solar energy
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18H01827
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 雅典 京都大学, 化学研究所, 准教授 (60419463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 晃二 京都大学, 高等研究院, 特任教授 (00029274)
小林 克彰 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任講師 (30433874)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 赤外光 / 光触媒 / 再生可能エネルギー / 光水素生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽エネルギーのおよそ46%を占める赤外域の太陽光の有効利用法が開発されれば、光合成や太陽発電などに匹敵する新たなエネルギー資源の創生に相当する。また、赤外光利用は自然の光合成や太陽電池と競合しないため、自然や太陽電池などの既存技術と共存したエネルギー変換を実現できる。目に見えない、生命活動に干渉しない未使用エネルギーである赤外光の利用は、実現すれば環境調和社会の実現に大きく貢献する。一方で、熱線(赤外光)を捕集し、電気、化学エネルギーに変換することは12億年以上の光利用の歴史をもつ植物でさえ成し遂げていない難題であり、学術的な視点からも困難を極める。捕集が困難でエネルギーの低い熱線を再生可能エネルギーとして活用するには、可視光とは異なる方法論の開発が必要である。 本研究期間中において、申請者はヘビードープ半導体ナノ粒子の局在化表面プラズモン共鳴(LSPR)の励起に誘起される新しいキャリア移動機構を応用し、現在までに報告されている材料を凌駕する効率で赤外域の光を化学エネルギーに変換することに成功した[波長1100 nmでの外部量子効率4%を記録 J. Am. Chem. Soc. 2019, 141, 2446-2450.]。また、実現不可能と考えられていた長波長限界(2000~2500 nm)領域の太陽光の化学エネルギー変換を世界で初めて実現した。従来、LSPRを用いた光エネルギー変換は効率が極端に低いため、赤外光エネルギー変換への応用は不可能と考えられていた。申請者発見はこの常識を打ち破る革新的なものであり、赤外光のエネルギー資源化へのブレイクスルーとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
波長1100 nmでの外部量子効率4%という現在までに報告されている材料を凌駕する効率で赤外域の光を化学エネルギーに変換することに成功した。また、実現不可能と考えられていた長波長限界(2000~2500 nm)領域の太陽光の化学エネルギー変換を世界で初めて実現した。従来の研究では、LSPRを用いた光エネルギー変換は効率面に難があるために実用化は難しいと考えられていた。今回得られた成果はLSPRを用いた光エネルギー変換を概念を一転させる革新的なものであり、赤外光のエネルギー資源化へのブレイクスルーとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で高効率な赤外光‐化学エネルギー変換に成功しており、申請者の方法論が赤外光のエネルギー資源化に有効であることは実証されている。一方で、実現した赤外光有機反応は現時点では水素生成に限られている。今後は、得られた成果、学理を応用して赤外光に誘起される触媒反応のライブラリの充実と、有用な酸化反応と連動した還元反応の開発を目指す。
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Research Products
(9 results)