2020 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光ダイヤモンドを用いた1生体分子NMR観察法の確立
Project/Area Number |
18H01838
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 慶恵 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10202269)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光性ナノダイヤモンド(FND)内部に存在する窒素空孔中心(NVC)の電子スピンはms = 0 と縮退した ms = ±1の2つ量子状態を有しており、この量子状態間の磁気共鳴周波数(D)は温度によって変化する。すなわち、このDを当研究室で開発した光検出磁気共鳴(ODMR)顕微鏡で計測することによって、FND周辺の温度を知ることができる。また、FNDは生体適合性が高く細胞毒性を示さないことから、新しい細胞内温度センサーとして期待されている。本年は細胞内の熱伝導を明らかにする研究に取り組んだ。 ポリドーパミン(PDA)はナノ粒子表面に容易に均一な薄膜構造を形成し、可視光を照射するとによって発熱することが知られている。まず、PDAコートされたFND(FND-PDA)を合成し、その発熱能を評価した。その結果、PDAによってナノスケールに発熱した熱を、同じくナノスケールの温度計FNDで検出することに成功した。発熱は1度程度の精度でコントロールすることができ、光照射を繰り返してもPDAの構造が壊れることはなく発熱の能力が変化することはなかった。FND-PDAはナノ領域の熱伝導を計測することが可能となる。その原理は、熱伝導性の高い水中ではPDAから発せられた熱は水に逃げFNDの温度は上がりにくく、逆に空気中では熱は逃げずFNDの温度は上がりやすくなるというものである。FND-PDAを細胞内に取り込ませ、熱伝導率を測定したところその値は0.11でありこれは水(0.61)よりも低く、空気(0.026)よりも高く、ミネラルオイル(0.13)と同程度であった。細胞内の熱伝導率は水と同程であると言われていたが、本研究では、細胞内ナノ領域の熱伝導率を計測できるプローブの開発により両者が異なることを世界で初めて明らかにした。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Tracking the 3D Rotational Dynamics in Nanoscopic Biological Systems.2020
Author(s)
Ryuji Igarashi, Takuma Sugi, Shingo Sotoma, Takuya Genjo, Yuta Kumiya, Erik Walinda, Hiroshi Ueno, Kazuhiro Ikeda, Hitoshi Sumiya, Hidehito Tochio, Yohsuke Yoshinari, Yoshie Harada, Masahiro Shirakawa
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Journal Title
Journal of the American Chemical Society
Volume: 142
Pages: 7542-7554
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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