2018 Fiscal Year Annual Research Report
細菌内無機元素の高分解能動態観測を目指した高機能マイクロ流路液体セルの開発
Project/Area Number |
18H01842
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石田 忠 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80517607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 智広 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30401574)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 極博化 / 粗微動ステージ駆動機構 / 寒天マイクロ流路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である「無機微量元素の観点から細菌を研究するための、高分解能観察・高機能を両立したマイクロ流路液体セルを開発」において、当該年度は主に高分解能観察のための高分解能観察の基盤技術の開発を行った。高分解能観察を妨げる原因となるのは、電子線散乱である。そこで、電子線透過膜内の電子線散乱を低減するための「電子線透過膜の極博化」、電子線透過膜と細菌の間に存在する培養液内の電子線散乱を低減するための「電子線透過膜への細菌の非破壊接近機構」と「培養液を用いない細菌培養用マイクロチャンバ」を開発した。真空と大気圧の隔壁として機能する極薄の電子線透過膜を形成した。シリコーンゴム膜にストッパ構造を実装し、ストッパ構造の内外におけるシリコーンゴム膜のばね定数の違いを利用した粗微動駆動機構を開発した。細菌の培養液を用いずにマイクロ流路内で培養することのできる寒天製マイクロ流路を開発した。これらにより、電子線散乱を極限まで低減することが可能であり、電子線透過膜越しの電子顕微鏡観察の高分解能化が期待できる。 また高機能なマイクロ流路技術の基盤技術として、電子線透過膜と干渉しないマイクロ流路を開発した。疎水性パターンと親水性パターンにより定義されたマイクロ流路に細菌懸濁した培養液を導入したところ、親水性パターン上を細菌懸濁液を流せることを確認した。これにより、極博電子線透過膜越しの電子顕微鏡観察下で様々な流体操作が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では(1)電子線透過膜の極博化、(2)機械的構造を用いないマイクロ流路技術、(3)電子線透過膜を割らずに細菌を電子線透過膜に接触する技術、(4)細菌やバイオフィルムの成分分析を目標に掲げており、(1)-(3)において順調な進展が得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)極薄電子線透過膜、(2)電子線透過膜への細菌の接触技術をさらに発展させ、それらを組み合わせることで、(3)液中・気中の細菌の電子顕微鏡観察を行う。 (1) 極薄電子線透過膜:窒化珪素膜の薄化に成功したが、本年度はさらに電子線透過膜を薄化を行う。 (2) 電子線透過膜への細菌の接触技術:空気圧アクチュエータの駆動に加えて、マランゴニ流を用いた細菌の電子線透過膜への接触技術を開発する。 (3) 液中・気中細菌の電子顕微鏡観察:これまで開発した周辺技術を融合して、細菌の液中・気中観察を行う。
|
Research Products
(4 results)