2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H01844
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
益田 泰輔 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (30431513)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | BioMEMS / 血中循環膵がん細胞 / レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,糖鎖と特異的に結合するレクチンタンパク質に着目し,細胞表面の糖鎖を認識するレクチンをマイクピラーに固定化し,血中膵がん細胞を選択的に捕捉するレクチンアフィニティ型オープンチップ細胞分離技術を新たに開発し,その有用性の検証を目的とする.ここでは,悪性度が高く,EMTやサイズ不均一性を示した血中膵がん細胞を漏れなく捕捉する有効な手段として,細胞表面の糖鎖を対象にしたレクチンアフィニティ(レクチンチップ)とサイズ分画を融合した新規分離方法を確立する.
1細胞回収技術の構築と細胞品質評価 昨年度行った1細胞回収ためのフィージビリティ実験では,細胞回収率が50%と低い結果であった.2019年度は,1細胞回収精度を向上するために,回収方法を検討した.従来の1細胞回収の多くは,ガスタイトシリンジを搭載したシリンジポンプを用いることが多い.ただし,シリンジ内部に残留する空気の影響や,配管抵抗などによりポンプとしての吸引応答は著しく低い.そこで,アクチュエータの応答速度の向上を期待して,ピエゾポンプを用いた1細胞回収方法を検討した.ヒト血液にCapan-1細胞(ヒト膵がん細胞株)をスパイクしたサンプルを用いて,1細胞収実験を実施した.マイクロピペット先端径と細胞回収率を評価した結果,先端径が102,70,45,および29マイクロメータのとき,それぞれの細胞回収率は0%,26%,100%,および87%であった.このことから,1細胞回収において至適なピペット先端径が存在すると同時に,確実に1細胞を回収し得る技術の見通しがたった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに導入した1細胞回収方法において,回収率が大幅に向上することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにヒト血液にスパイクした実験にて,レクチンチップの有用性の確認と,細胞回収の一連の評価方法はほぼ構築できた.今後は実際の臨床腫瘍細胞(例えば,肺がん,子宮がん,大腸がんなど)に対するレクチンの選定およびレクチンアフィニティの検証実験を行う.また,当該研究で使用するオリジナル装置である「レアセルソーター」において当該成果を搭載した1細胞回収の自動化を実施する.
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