2018 Fiscal Year Annual Research Report
Next generation DNA sequencing using surface-enhanced Raman spectroscopy
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18H01847
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菅野 公二 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20372568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 吉正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20257819)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 表面増強ラマン分光 / 1分子計測 / DNAシーケンシング / 金ナノ粒子 / プラズモニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では,従来のナノポアなど電気的検出法による次世代DNAシーケンシング技術より高い信頼性を有する新規な技術として,分子識別能力に優れた表面増強ラマン分光(SERS:Surface Enhanced Raman Spectroscopy)によるDNAシーケンシングを提案し,その基盤技術の確立を目的としている。この研究により,メチル化など異常修飾を含めた塩基配列を識別可能なDNAシーケンシング技術が期待される。平成30年度では以下の項目を明らかにすることを目的としてSERSおよび電気的手法によるDNAオリゴマー検出実験を行った。 (1)DNA断片における1塩基検出感度・1塩基空間分解能の実現と諸特性・現象の理解 単一金ナノ粒子二量体を用いてDNAオリゴマーのSERS計測を行った。単一の金ナノ粒子二量体のナノギャップ部分は単一のDNAオリゴマーのみ侵入可能な空間であり,本実験でDNAオリゴマー内容物のラマンピークが観測されることで単一DNAオリゴマーの検出が確認できる。CCCCACCCのDNAオリゴマー内にある種類の塩基(アデニン)が1つのみ含まれる配列にてSERS計測を行った結果,アデニンの明確なラマンピークが検出された。これにより,DNAオリゴマー内の1分子塩基感度の検出・同定が可能であることを実証した。 (2)巨大電磁場増強場におけるDNA断片挙動の理解とマニピュレーション技術の確立 トップダウン加工でナノギャップ電極を形成し,ナノギャップ(巨大電磁場増強場)におけるDNA断片の挙動を電気的計測により調べた。レーザ照射による電磁場増強によって大きな電場勾配が発生するためDNAオリゴマーに誘電泳動力が働くと考えられる。これまでにレーザ照射することでナノギャップ間に電流シグナルが得られた。この結果によりレーザ照射により分子がナノギャップに引き寄せられていることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度では以下の項目を明らかにすることを目的としてSERSおよび電気的手法によるDNAオリゴマー検出実験を行った。 (1)DNA断片における1塩基検出感度・1塩基空間分解能の実現と諸特性・現象の理解 単一金ナノ粒子二量体を用いてDNAオリゴマーのSERS計測を行った。単一の金ナノ粒子二量体のナノギャップ部分は単一のDNAオリゴマーのみ侵入可能な空間であり,本実験でDNAオリゴマー内容物のラマンピークが観測されることで単一DNAオリゴマーの検出が確認できる。1つ目の実験として,CCCCACCCのDNAオリゴマー内にある種類の塩基(アデニン(A))が1つのみ含まれる配列にてSERS計測を行った結果,アデニンの明確なラマンピークが検出された。これにより,DNAオリゴマー内の1分子塩基感度の検出・同定が可能であることを実証した。このとき,シトシン(C)のピークのみおよびシトシンとアデニンのピークが観測される場合に加えてアデニンのピークのみの場合が観測されたことから,1塩基空間分解能の可能性を示すことができた。また,CCAAACCCとAAAAAAAAのDNAオリゴマーの計測を行い,アデニンラマンシフトのばらつきから高い空間分解能の可能性を示した。 (2)巨大電磁場増強場におけるDNA断片挙動の理解とマニピュレーション技術の確立 トップダウン加工でナノギャップ電極を形成し,ナノギャップ(巨大電磁場増強場)におけるDNA断片の挙動を電気的計測により調べた。ナノギャップへのレーザ照射がない場合では電流ピークが確認できなかったが,レーザ照射によりピークが得られることを明らかにした。データ解析からナノギャップ間にDNAオリゴマーが進入頻度および滞留時間を電流値の変化から明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き以下の項目について研究を推進する。 (1) DNA断片における1塩基検出感度・1塩基空間分解能の実現と諸特性・現象の理解 単一金ナノ粒子二量体を用いてメチル化を含めた様々な塩基・配列のDNAオリゴマーのSERS計測を行う。単一の金ナノ粒子二量体のナノギャップ部分は単一のDNAオリゴマーのみ侵入可能な空間であるため,2018年度ではCCCCACCCの配列のDNAオリゴマーの計測を行い,アデニンのラマンピークを確認でき,アデニン1塩基感度を達成した。今後は,C,G,Tについて,DNAオリゴマー内にある種類の塩基が1つのみ含まれる配列にてSERS計測を行う。これにより,1分子感度の検出・同定が可能か,またそのラマン強度から金ナノ粒子二量体の電磁場増強度および塩基ごとのラマン散乱断面積を明らかにする。また,透過型電子顕微鏡やヘリウムイオン顕微鏡を用いて金ナノ粒子二量体構造の観察を行うことやナノギャップを制御することで高い増強度が得る。 (2) 巨大電磁場増強場におけるDNA断片挙動の理解とマニピュレーション技術の確立 2018年度ではトップダウン加工でナノギャップ電極を形成し,ナノギャップ(巨大電磁場増強場)におけるDNA断片の挙動を電気的計測により調べた。レーザ照射による電磁場増強によって大きな電場勾配が発生するため,DNAオリゴマーに誘電泳動力が働くと考えられる。これまでにレーザ照射により電流シグナルが得られ,ナノギャップ間にDNAオリゴマーが進入頻度および滞留時間を電流値の変化から明らかにした。今後は前年度から進めている光学的1分子観察により,より広い範囲での詳細な挙動を明らかにする。また電気的な計測およびSERS計測により挙動を調べる。また,金ナノ粒子二量体配列に電極をアライメントして作製することで新しいナノギャップ電極作製を行う。
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Research Products
(5 results)