2020 Fiscal Year Annual Research Report
An integrated body-on-a-chip mimicking physiological parameters
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18H01849
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木村 啓志 東海大学, 工学部, 准教授 (40533625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 喜久夫 近畿大学, 工学部, 准教授 (60431813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Organ-on-a-chip / マイクロ流体デバイス / 生体模倣システム / ADME / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
創薬分野では非臨床試験において、実験動物を使ったin vivo試験や培養細胞を用いたin vitro試験が実施されているが、ヒトと実験動物の種差やin vivoとin vitroの乖離に起因する医薬品開発コストの増加が社会的問題となっている。そこで本研究では、この乖離を補完するための高次in vitro系として、マイクロ流体デバイス技術を活用した機能統合型Body-on-a-chipの構築を目指す。具体的には、本研究では医療・創薬分野への応用を見据えつつ、生物学的に新しい知見を得るための高次in vitro系として、①ADME(吸収(Absorption)・分布(Distribution)・代謝(Metabolism)・排泄(Excretion))機能集積化、②生理学的パラメータ再現、③マイクロ電気化学センサ集積化 を実現する機能統合型Body-on-a-chipを構築する。 2020年度では、前年度までに開発したマルチウェルプレート型Organs-on-a-chipを用いて、初代培養肝細胞およびヒトiPS由来小腸細胞の共培養系を確立し、その機能検討を実施した。多角的に評価した結果、in vitro実験系における異臓器細胞間のシナジー効果を発見するに至った。また、機能統合に向けた各要素の改良検討については、スターラ式ポンプの駆動条件を明らかにすると共に、電気化学式グルコースセンサについては、研究分担者の近畿大学小森と共同して改良とその評価を実施し、それぞれの機能のOrgans-on-a-chipへの集積化に目処をつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度では、機能統合型Body-on-a-chipの実現に向けて、主に、①マルチウェルプレート型Organs-on-a-chipの開発と②機能統合に向けた機能要素の改良 について取り組んだ。 ①については、前年度までに開発した汎用性の高いマルチウェルプレート型のOrgans-on-a-chipの機能検討として、ヒト肝細胞キメラマウス由来の初代培養肝細胞と、ヒトiPS由来の小腸細胞の共培養実験を実施した。共培養した細胞の機能を定量PCRや質量分析装置を用いて多角的に評価した結果、正常細胞同士の共培養によって、肝細胞の代謝機能が優位に向上することが明らかとなった。この現象は、これまでに明らかになっていなかった肝臓と小腸という異臓器間のシナジー効果によるものであると考えられる。 ②については、オンチップ型のスターラ式ポンプと電気化学式グルコースセンサについてそれぞれ、機能改良に向けた基礎研究を実施した。スターラ式ポンプについては、送液原理の解明と構造の最適化の検討を進めた。2020年度中では送液原理の解明までには至っていないものの、安定した送液を実現するための要件についてはその条件が明らかとなったところである。電気化学式グルコースセンサについては、長期計測におけるセンサ出力安定性の向上を目指して、センサ電極表面の構成に関する検討を実施した。これまでの検討で、細胞培養液に含まれる様々な物質によるセンサ表面の汚染や、センサ膜からの酵素などの構成要素の溶け出しなどがセンサ感度低下に関連していることが明らかとなっている。そこで、センサ電極表面に透析膜を組み込み電極の汚染の防ぐことでセンサ出力の安定性を実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、開発したマルチウェルプレート型のOrgans-on-a-chipを用いて、機能検討としての薬剤応答試験を実施していく。ここでは、株化細胞のほか、2020年度中に樹立した初代培養細胞やヒトiPS由来細胞の共培養系を用いて、より信頼性の高い評価実験を実施する予定である。加えて数理モデルを構築して、Organs-on-a-chip のin vitro系における薬物動態評価の可能性を模索する。数理モデルの基礎は、2019年度に構築済みであり、これを応用可能な状況である。集積型のポンプやセンサなどの機能要素については、2021年度中に機能統合に向けた機能改良に目処をつける。具体的には、スターラ式ポンプの形状および制御方法について最適化を実施すると共に、電気化学式グルコースセンサのマルチウェルプレート型Organs-on-a-chipへの集積化を実現する方針である。
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Research Products
(27 results)