2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H01852
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下谷 秀和 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60418613)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機半導体 / レーザー / 電界効果トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
有機半導体単結晶を用いた両極性電界効果トランジスタを用いた発光素子の作製を行った.素子構成の改善により再結合電流密度の増加に成功し,発光スペクトルの狭帯化と発光強度の非線形な増大を確認した.これは誘導放出による増幅が起こっている可能性が高いと考えられる.さらに,グレーティングによる分布帰還構造を導入し,共振器を構成することにより,発光スペクトルの更なる狭帯化(分光器の分解能まで)を実現した. また,ω-ビス(ビフェニル-4-イル)ターチオフェン単結晶は光励起により振電遷移のうち0-1遷移が利得狭帯化する場合と,0-2遷移が利得狭帯化する場合があることが知られているが,その理由は分かっていなかった.本研究により,平板状のω-ビス(ビフェニル-4-イル)ターチオフェン単結晶の厚さが薄い時は0-1遷移が利得狭帯化し,厚い時は0-2遷移が利得狭帯化することが明らかとなった.これは,発光は単結晶のab平面内を導波するため,結晶内への閉じ込めの度合いが,どちらがより増幅されるかにかかわっているためと考えられる.単結晶の厚さは発光波長と同程度であるため,単結晶が薄い時は0-1遷移の発光の閉じ込めが不十分であり,0-2遷移が増幅されて利得狭帯化すると考えられる.結晶が厚い時は両方の遷移ともよく閉じ込められるが,もともと0-2遷移の方が遷移確率が大きいため0-2遷移がより増幅されて利得狭帯化すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最大の目標として,レーザー発振が起こっていることを証明するために共振器構造を反映した発光スペクトルを得ることを掲げていた.分布帰還型の共振器を導入することにより,その格子周期に対応したストップバンドと発振波長を持つスペクトルを得ることに成功し,目標を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
素子からの発光がレーザー光であることを確認するためには,時間的コヒーレンス及び空間的コヒーレンスの測定が必要である.そこで,それを実現するために発行の時間的安定性及び再現性を高めるとともに,測定用の干渉計の作製を進める.
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Research Products
(7 results)