2019 Fiscal Year Annual Research Report
Classifying the interfacial traps in organic field-effect transistors and revealing the mechanism of the formation of low-trap-density interfaces
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18H01855
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松井 弘之 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (80707357)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機トランジスタ / 有機半導体 / トラップ / ノイズ / バイアスストレス / 揺動散逸定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機トランジスタの動作安定性に関する課題としてバイアスストレスとノイズがあるが、これらの統一的理解はいまだ不十分である。そこで本研究ではこの2つの現象が発生する原因の追求を通してトランジスタの動作性能を改善することを目的とした。具体的には、絶縁層およびチャネル層が異なる4種のデバイスについてバイアスストレスとノイズを同時計測し、その相関性について調べた。 絶縁層としてパリレンCのみまたはパリレンC/SiO2の2層構造、チャネル層として塗布型p型有機半導体であるDTBDT-C6のみまたはDTBDT-C6:ポリスチレン混合溶液を用いて、計4種類のデバイスを作製した。有機半導体層と電極層はすべて印刷法を用いて成膜した。ノイズ測定は一定電圧下でのソース電流を測定し、それをパワースペクトル密度に変換して、平均電流値で規格化した。バイアスストレス測定は、5000 sのバイアスを加えて、ドレイン電流の変化量を測定した。 全てのデバイスにおいて1/fノイズが観測された。90 Hzにおけるノイズのパワースペクトル密度と5000 s後のバイアスストレスの大きさをデバイス毎に比較すると、ノイズとバイアスストレスのいずれも、パリレンのみ・DTBDT-C6のみのデバイスで最も大きく、SiO2の挿入またはポリスチレンの混合によって低減されることが分かった。今回の結果から、バイアスストレスとノイズは同一の起源をもつことが示唆される。今後はノイズとバイアスストレスを同じ時間スケールで測定し、それらの統一的理解を進めていく。 また、実験と並行して、有機半導体薄膜中のトラップ、ゲート絶縁膜中のトラップ、ゲート絶縁膜中の誘電分極がノイズ、バイアスストレス、直流特性に与える影響を統一的に記述する理論モデルの定式化を行った。来年度は、同じ時間スケールで測定した実験結果と照らし合わせながら、モデルの検証や修正を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築したノイズおよび過渡応答の精密計測システムを用いて、有機トランジスタの半導体/絶縁体界面のキャリアのゆらぎによって生じるノイズ(揺動)と緩和現象としてのバイアスストレス(散逸)の同時精密計測を行った。また、素子の直流特性とノイズ、バイアスストレスを統一的に記述可能なモデルを定式化した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はノイズとバイアスストレスを同じ時間スケールで測定し、それを統一理論モデルと照らし合わせることで、統一理論モデルの検証や修正を行う。 また、関連する課題として、様々な有機半導体薄膜の特性を測定する際には、次のような4つの要求を満たすことが望ましいが、現在ではこれらを同時に満たす測定法は確立されていない。4つの要求とは、 (1)コンタクト抵抗の影響を受けず、真のチャネル内移動度を評価可能であること、(2)異方性を含む移動度テンソルとして評価可能であること、(3) 100 µm程度以下の小さな結晶に対しても、結晶粒界の影響を受けないよう、単一ドメイン内で測定可能であること、(4)劣化の原因となる有機半導体薄膜のパターニングが不要であること、である。そこで本年度は、これら4つの要求を満たす有機半導体薄膜評価法の開発にも取り組む。具体的には、第2のゲートを用いることによって(1)(2)の要求を達成し、6つの端子を配置して、2つの端子間に電流を印加し、残る4つの端子の電位を測定することで(3)(4)の要求を達成する。本手法により、様々な有機半導体薄膜の物性を正しくかつ効率的に評価する。
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Research Products
(4 results)