2020 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドバンド・ナローバンド共存電子系の精密制御による新規高温超伝導体の設計と実証
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18H01860
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒木 和彦 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10242091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永崎 洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 首席研究員 (20242018)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超伝導 / バンド構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論研究:令和2 年度においては、incipient band 超伝導関連で令和1 年度に行った梯子型銅酸化物の一軸圧効果の研究、変分モンテカルロ法によるbilayer Hubbard model の研究、新しいタイプの銅酸化物Ba2CuO3+dの超伝導発現機構に関する論文を出版した。特にBa2CuO3+dの研究においては、異なる軌道成分を持つバンド間においてもincipient band 機構が働くことを見出したが、令和2年度においてはこれに触発され、d8電子配置を持つ複合アニオン型ニッケル化合物において、多軌道型のincipient band機構による高温超伝導がおこる可能性があることを提唱した。さらにこの理論と、2019 年に新しく発見されたニッケル酸化物超伝導の発現機構が関係している可能性があることを指摘した。 実験研究:令和2年度は、CuO2面がSrで仕切られる新規Caフリー二層型銅酸化物の結晶構造を同定・解析し、従来のCa含有系と同じ構造をもつことを明らかにした。高圧合成で作製した試料に還元アニールを施すことで,例えば(Hg,Re)Sr2SrCu2OyでTc = 110 Kを達成した。頂点フッ素系Sr2SrCu2O4+yF2-yに関しては、CuF2を用いてトポケミカル反応を施すことで、その構造が直方晶に変化し、Tcが大きく増大することが分かった。令和3年度は、Sr2SrCu2O4+yF2-yのTc向上と構造変化の詳細を調べ、トポケミカル反応によって過剰酸素の除去とFの挿入が生じることが分かった。計算科学を併用した構造解析を行い、Fは岩塩型ブロック層の格子間位置にインターカレートされることが分かった。さらに、CuF2を用いない低温アニールにより、頂点Fのない平面四配位構造が実現するなど、Sr2SrCu2O4+yF2-yで生じる3種の構造と超伝導の関係を明らかにした。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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