2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H01865
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩貝 純一 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30734066)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モノカルコゲナイド / 薄膜成長 / 2次元物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
特異な膜厚依存性の物性を示すモノカルコゲナイド物質群において、単層状態及び異種材料のヘテロ界面における電気伝導特性や光学特性を評価し、バルク体とは本質的に異なった量子輸送現象や界面物性の発現を目的として研究を行っている。
例えば、層状物質であるFeSeは、バルクで8Kの転移温度を示す超伝導物質であるが、酸化物基板上の単層状態では、40Kを超える高温超伝導を示す。本年度は、この高温超伝導を示す極薄膜FeSeの超伝導発現機構を解明する目的で、微細加工を用いた接合素子の作製に取り組んだ。微細加工プロセスでは、リソグラフィー等の微細加工技術を用いるため、大気中や有機溶媒中における試料特性の劣化特性の評価とその抑制が必要不可欠である。
我々は、FeSe薄膜上の絶縁体InSeが、有効なキャップ層として機能することを見出した。パルスレーザー堆積法で作製したInSe/FeSeの2層構造において、各微細加工プロセスにおける劣化特性の評価を行った。電気測定による特性評価の結果、InSeキャップ層をしたFeSe極薄膜は、キャップ層無しの場合と比較して、プロセス中の劣化が格段に抑制されることを明らかにした。今後は、本構造をトンネル素子やジョセフソン素子に適用し、超伝導発現機構を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超伝導体FeSeをチャネル物質とした微細加工素子の作製技術を確立することできた。本技術を活用することにより、トンネル分光素子やジョセフソン接合素子による超伝導物性の評価が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
超伝導物質の接合素子は、トンネル分光による超伝導ギャップの直接測定や、ジョセフソン接合素子によるギャップ対称性の評価を可能とする。FeSeやその極薄膜高温超伝導、あるいはその類縁物質であるFeSeTeは、非従来型の超伝導発現機構が提案されている。今後は、InSe/FeSe接合で確立した微細加工プロセスを最大限に活用し、FeSeの超伝導接合素子研究に研究の中心を移していく。
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