2018 Fiscal Year Annual Research Report
エピタキシー技術が拓くルテニウム酸化物超伝導体の横断的研究
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18H01866
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
打田 正輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (50721726)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ルテニウム酸化物 / 薄膜 / 超伝導材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エピタキシー技術によって実現されたルテニウム酸化物薄膜の超伝導状態の解明や、類似のルテニウム酸化物超伝導状態の実現とそれらの比較研究を通じた超伝導メカニズムの研究を目的としている。分子線エピタキシー法を用いたSr2RuO4の薄膜作製については転移温度が1.2Kを超える超伝導薄膜の作製に成功できるようになり、薄膜の品質は向上を続けている。また、この超伝導薄膜の上部臨界磁場の方位角依存性を精密に測定したところ、その超伝導状態が次元クロスオーバーの領域に位置していることが確認された。さらに、c軸方向の上部臨界磁場がバルクと比較して異常な増大を示す一方で、ab面内方向では相対的に上部臨界磁場が抑制される振る舞いが明らかになった。このことはSr2RuO4薄膜ではab面内方向にパウリリミットが存在していることを意味しており、薄膜化による空間反転対称性の破れにしたがってdベクトルの方位がバルクのc軸方向からab面内方向へと変化している可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ルテニウム酸化物超伝導薄膜の高品質化及び、そのようにして得られた超伝導薄膜の特性評価による超伝導対称性の議論が進んでいることから、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲート構造を用いたキャリア変調により、結晶乱れを導入することなくキャリアドーピングの効果を調べる。超伝導転移温度の非対称的変化を調べることで、超伝導発現のメカニズムについて考察を行う。また、面内に異方性のあるエピタキシャル応力や等方性を保ったエピタキシャル応力をSr2RuO4超伝導薄膜に導入し、転移温度の変化を調べる。
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Research Products
(16 results)