2019 Fiscal Year Annual Research Report
走査ダイヤモンドスピンプローブを用いたナノスピンイメージング
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18H01868
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
AN TOSHU (安東秀) 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (70500031)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NV中心 / ダイヤモンド / スピン計測 / 原子間力顕微鏡 / 磁気イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
予備の研究として、先ず、バルク中のダイヤモンド表面に存在する複数のNV中心を用いてマイクロメートルサイズのネオジウム粒子からの漏洩磁場ベクトル分布のイメージングに成功した。続いて、(1)「NV中心を含有したバルクダイヤモンドを原子間力顕微鏡(AFM)探針先端へ接着する方法」において、NV中心を含有するダイヤモンド粒子を走査プローブ探針として用いる研究を進展させた。探針に用いるダイヤモンド粒子には予めNV中心を含有するマイクロメートルサイズのダイヤモンドをタングステンワイヤーに接着し、集束イオンビーム(FIB)を用いて先端曲率を数百ナノメートル程までに先鋭化して用いた。ダイヤモンドプローブはAFMとしても動作し、AFM機構には音叉型水晶振動子を用いた。この機構を用いて、マイクロメートルサイズのネオジウム粒子を埋め込んだ試料近傍を走査し、ネオジウム粒子から生成される漏洩磁場のイメージングに成功した。確認された空間分解能は数百ナノメートル、磁場感度は約1マイクロテスラ/√Hzである。 (2) 「NV中心を含有したナノダイヤモンドをファイバープローブ先端に取り付けた近接場、照射・集光型プローブの開発」について、これまでに、水晶振動子型AFMとファイバープローブを一体化した走査系、光学系、制御系の開発を終え、先ず、ファイバープローブ先端にマイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子を取り付ける実験を計画しプローブの開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NV中心を含有するダイヤモンドを走査プローブとした磁場イメージングに成功したことにより、装置の基本動作の開発を達成することができた。今後、NV中心プローブの高性能化、走査プローブの精細な制御を進めることで、空間分解能、磁場感度を高めることができると期待される。NV中心を含有したナノダイヤモンドをファイバープローブ先端に取り付けた近接場、照射・集光型プローブの開発についても個々の技術開発の準備を終え、今後の動作の実現が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロメートルサイズのダイヤモンド粒子と集束イオンビーム(FIB)を用いて成功した走査ダイヤモンドプローブ作成法に加えて、レーザーカッティングやフォトリソグラフィー法によるダイヤモンドロッドを作成する方法を適用して用い、より高性能な走査NV中心プローブを作成する。今後、これらを用いてサブマイクロメートルサイズの磁性体を計測し実用的な計測法であることを実証する。以上で得られた知見を援用しながら、並行してNV中心を含有した走査光ファイバープローブの開発を進める。
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