2019 Fiscal Year Annual Research Report
Time-resolved scanning molecular probe microscopy
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18H01872
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 卓也 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50229556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 洋一 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70756460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 質量分析法 / 時間分解計測 / パルス光励起 / キャピラリイオン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年までに確立した装置を用いて、キャピラリー制御の高度化と時間分解質量分析を行うための試料の確立を目的とした研究を行った。 昨年度の研究で、キャピラリーを試料にゆっくり近づけ、離したときの液架橋の形成と破断、イオン化の関係を明らかにした。本年度はこれを基礎にキャピラリーを振動させて、試料を走査する実験を行った。まず、測定の安定化を行うため、これまでキャピラリの動きをレーザー光の反射で検出してきたが、キャピラリーは表面が曲面であるために、レーザー反射の向きが定まらず、実験のセッティングが難しく再現性に乏しかった。そこで、反射法に変わり、キャピラリの影を利用する透過法による位置検出方法を新しく考案した。この方法を用いて、キャピラリ振動の振幅、位相と質量分析器によるイオン検出の関係について調べた。新風を利用して、キャピラリ-と試料の間の距離を制御し、位相を用いて、液架橋の形成を検出すれば、動的な液架橋形成状態のモニタとして有効であることがわかった。 一方、時間分解質量分析測定を行うための試料として、実験の計画当初は、単純な光化学反応を想定していた。しかし、分子の光吸収係数を考えたとき、光照射により確実に化学反応を起こすには、非常に強い光が必要であることが明らかになった。そこで、表面に金微粒子を配列した基板を用いて、プラズモン共鳴による電場増強を行い、光化学反応を誘起することにした。今年度は、トンネル電流モニター法による均一な金微粒子配列基板の形成プロセスを確立して、ラマン顕微鏡を用いて有効な電場増強が期待できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間分解質量分析顕微鏡の実現へ向けて 1.キャピラリープローブ制御の安定化 2.プラズモン励起反応に用いる金微粒子配列基板の作成法の確立 の2点を行った。2は当初計画の酸化チタン表面を用いた光反応からの実験系の転換であるが、順調に準備が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を基に、来年度は時間分解質量分析の実現に向けた研究を行う。金微粒子配列上で起こる光誘起化学反応をラマン分光法などで調べて、質量分析法との対応関係を明らかにする。、
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Research Products
(3 results)