2019 Fiscal Year Annual Research Report
電子ビームの軌道角運動量測定法の開発およびその応用研究
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18H01884
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 正哉 埼玉工業大学, 付置研究所, 教授 (80462662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (50292280)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 粒子線 / 量子ビーム / 電子ビーム / 軌道角運動量 / 波動関数 / 位相 / ボルテックス(特異点) / 回折格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電子ビームの軌道角運動量測定法を開発し、その応用研究を行うことを目的に研究を遂行している。令和元年度の主な成果は、以下の通りである。
開発を行っている軌道角運動量検出器の一つは、回折格子をもちいて電子の軌道角運動量スペクトルを測定することができるものである。平成30年度、1次元フォーク型回折格子を2次元に拡張した「ダンマン渦回折格子」をベースにした検出器を開発した。「ダンマン渦回折格子」は回折次数によらず、回折強度が等しくなるように設計した特殊な回折格子である。設計の「ダンマン渦回折格子」は-10 h/2π~+10 h/2πの各軌道角運動量成分の同時取得(軌道角運動量スペクトル)が可能である。「ダンマン渦回折格子」の作製は集束イオンビーム装置をもちいて行い、透過型電子顕微鏡に搭載、検出器の評価を行った。軌道角運動量をもたない電子ビーム(平面波)の場合、設計と一致する強度分布をもつことを確かめた。検出器の応用として、スパイラルゾーンプレートおよび磁性針を通した電子ビームの場合の軌道角運動量測定を行い、軌道角運動量分散スペクトルの測定に成功した。今年度、研究結果を解析し、論文として纏め投稿を行った。論文レフリーからの要求に応えるべく、追加の理論的解析、シミュレーションが必要であったが、米国物理学会発行のPhys. Rev. Applied. に掲載された。また、電磁場シミュレーションにより、電場型軌道角運動量測定器の設計も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、主に2つの課題に取り組んだ。 1)「ダンマン渦回折格子」を用いた軌道角運動量分散スペクトルの測定に関する研究結果を論文として纏めた。 2)「電場型軌道角運動量測定器の設計および作製」については、電磁場シミュレーションを行った。 以上のとおり、論文掲載のための追加シミュレーション等に多くの時間が必要であったが、最終的に論文掲載されたことで、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発している軌道角運動量検出器をもちいて、応用研究の対象をさらに広げる。具体的には軌道角運動量を用いた位相分布測定、イメージング法を実験的に試みる。また、非弾性散乱電子に適用するための検討を行う。
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Research Products
(2 results)