2018 Fiscal Year Annual Research Report
Si単元素クラスレート単結晶の実現に向けた新規結晶育成手法の創出
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18H01887
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森戸 春彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80463800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 暁彦 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20451635)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クラスレート / 結晶成長 / 単結晶 / 元素置換 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン(Si)クラスレートとは、Si 原子がカゴ状に結合した物質で、次世代の機能性材料として応用が期待されている。従来、本物質はNa原子を内包したSiクラスレート(Na-Siクラスレート)からNaを引き抜くことで作製されていた。しかし、前駆体であるNa-Siクラスレートの結晶育成手法が確立されておらず、また、Si単元素クラスレートのバルク結晶を作製する技術も未開発のままであった。そこで本研究では、Na-SiおよびSi単元素クラスレートの新しい結晶育成技術を確立することを目的とした。 Na-Siクラスレートの新たな結晶成長技術として、本研究グループでは金属フラックスを用いた手法を開発している。この手法で得られたNa-Siクラスレート基板をもとに、Si単元素クラスレートの新しい結晶成長技術を開発することを検討している。 初年度は、Na-Siクラスレートを高品質かつ効率的に作製する技術を確立するために、本手法の結晶成長機構の解明に努めた。特に、金属フラックスとして錫(Sn)を用いた結晶成長手法に着目し、Snフラックスが結晶成長に及ぼす影響を明らかにした。本研究では、初期原料中におけるSnフラックスの割合を制御して結晶作製を行い、Snフラックスが結晶の形態や品質に及ぼす影響を明らかにした。また、Snフラックス量が多すぎるとSn系化合物が析出してクラスレートの結晶成長を妨げる現象も明らかにした。 本研究では、クラスレートの結晶成長研究とともに、新規クラスレートの探索にも取り組んでいる。金属フラックスとしてガリウム(Ga)を用いた研究において、これまでにNa-Ga-Siクラスレートの結晶成長にも成功している。本年度は、SiをGaに置換した際の電気的特性の変化を結晶構造と電子状態の観点から明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Si単元素クラスレートの前駆体となるNa-Siクラスレートの結晶成長機構の解明を目的としていた。当初の予定通り、SnフラックスがNa-Siクラスレートの結晶成長に及ぼす影響を明らかにし、得られた結果と各元素の状態図から、本プロセスにおける結晶成長機構を明らかにすることができた。本物質の最適な結晶成長条件が明らかになり、高品質な単結晶を効率的に作製する手法にも目処がついたことから、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
Na-Siクラスラートの結晶成長機構と最適な結晶成長条件が明らかになったため、現在の単結晶育成装置を改良し、Na-Siクラスレート単結晶の大型化を試みる。また、横浜国立大学の伊藤准教授と共同で、得られたNa-Siクラスレートの単結晶を種結晶として、Na-SiおよびSi単元素クラスレートの単結晶作製に取り組む。Na-Siクラスレートの結晶成長をより効率的に進めるために、GaやAlなどの低融点金属フラックスも検討する。複合金属フラックスを用いた場合、Na-Ga-Alクラスレートが発見されたように、新規のクラスレートが合成される可能性も高く、その際は、新規物質の結晶構造および電気的特性の解明にも積極的に取り組む。
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Research Products
(7 results)