2019 Fiscal Year Annual Research Report
2種の光コムの融合による高速かつ高分解能な分光計測技術の開発
Project/Area Number |
18H01907
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柏木 謙 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (10509730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (30635800)
稲場 肇 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (70356492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光周波数コム / 分光計測 / デュアルコム分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は光周波数軸上で高分解能で、かつ時間軸上では短い測定時間の高速な分光計測を2台の光コムを用いて実現することを目指している。そのための2台の光コムとそれらを組み合わせた全体システムの構築、そして信号処理技術の開発を進めている。2019年度は初年度の成果を受けて、最終目標であるリアルタイム分光に向けて各要素技術の高度化を目指して研究を進め、次の様な成果が得られた。 2台の光コムを用いて分光計測を行うためには、それらの相対的なスペクトル線幅が細い、つまり2台の光コムのコヒーレンスが高い必要がある。2019年度はこの高いコヒーレンスを実現する制御技術を主に開発した。まず、高フィネス共振器の共鳴周波数に対して周波数安定化された狭線幅レーザを準備し、1台目の光コムをこのレーザを参照して安定化する。さらに、前記のレーザに対して約2 THz離れた単一周波数の連続発振レーザをこの光コムを参照して安定化し、変調器型光コムの基となる狭線幅レーザ光源とした。そのレーザ出力を変調することで変調器型光コムを生成し、光ファイバ増幅器で増幅した後に高非線形ファイバを伝搬させることで光スペクトルを拡大した。このスペクトル拡大した光コムのおよそ200次のコム成分と前記の共振器に安定化した狭線幅レーザとのビート信号を、マイクロ波参照信号に対して位相同期した。この位相同期は変調型光コム生成のための変調信号を制御することによって行った。制御時のインループビート信号の信号対雑音比は測定分解能1 Hzで65 dB以上であり、相対スペクトル線幅は1 Hz以下であった。この結果から2台の光コムが高いコヒーレンスを持つことがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2台の光コムの相対スペクトル線幅の狭窄化制御技術の開発において、望まないスペクトル成分(スプリアス成分)が観測され、この原因究明と除去に予想以上の時間を要した。しかし、今後の研究開発に有用な知見も得られたため、加速して研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はこれまでの成果を受けて、各要素技術をさらに高度化しながら最終目標である高速かつ高分解能なデュアルコム分光技術を開発する。具体的には下記の順序で開発を進める。 1. 2台のコムを融合して行う疑似整数倍デュアルコム分光の信号処理を一度データを蓄積した後に行うオフライン処理の技術を開発する。 2. 開発した要素技術を統合して、リアルタイムに分光情報を得る信号処理技術を開発する。
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Research Products
(3 results)