2019 Fiscal Year Annual Research Report
光ヘテロダインによるテラヘルツ光リアルタイムスペクトラム計測可視化システム
Project/Area Number |
18H01908
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
林 伸一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センターテラヘルツ連携研究室, 主任研究員 (70360188)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テラヘルツ光 / テラヘルツ帯スペクトル計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来,電波領域の計測に広く用いられてきたヘテロダイン(「電波」から「電気信号」への周波数下方変換)検出に代わる,光ヘテロダイン(「テラヘルツ光」から「通信帯近赤外光」(可視化)への周波数上方変換)検出による,国家標準にトレーサブルなリアルタイムテラヘルツ帯スペクトル測定システムの提案および構築を行った。「テラヘルツ光」の光ヘテロダイン(光領域への上方周波数変換)計測のための基準となる「高確度・高輝度近赤外光源」として,光領域の周波数基準である気体分子固有の吸収スペクトルに安定化可能な近赤外種光源を導入し,非線形光学効果を利用した光パラメトリック発生(PPLN-OPG)・増幅(KTA-OPA)を用い,測定対象である外部信号に同期可能な高確度・高輝度基準近赤外光源を設計・作製した。この「基準光」と「テラヘルツ光」を非線形光学結晶により上方変換し,テラヘルツ帯スペクトル情報を近赤外帯スペクトル情報に変換・計測する高確度なテラヘルツ帯スペクトル計測および標準化に関する研究を進めた。この手法は,テラヘルツ光無線通信が不得意とする長距離伝送を,光通信波長帯に変換することにより光ファイバーネットワークを通じて実現できるばかりでなく,不可視領域であるテラヘルツ帯を可視化することも容易である。加えて,光ヘテロダインにより変換したテラヘルツ光のスペクトル情報を持つ光を計測し,テラヘルツ光周波数制御機構に帰還するテラヘルツ光周波数制御手法に関する提案を行い,これらの成果を国際会議等において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に設計および作成依頼した「テラヘルツ光」の光ヘテロダイン(光領域への上方周波数変換)計測のための基準となる「高確度・高輝度近赤外光源」が,部品供給メーカーの都合(廃業)により急遽作成不可となってしまい,設計変更を余儀なくされたため進捗としてはやや遅れている。しかしながら,異なる提案による当該部品を利用しない光源設計により作成可能となり,本課題達成のためにはよりより提案が可能となった。。
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Strategy for Future Research Activity |
光ヘテロダイン(「テラヘルツ光」から「通信帯近赤外光」(可視化)への周波数上方変換)検出による,国家標準にトレーサブルなリアルタイムテラヘルツ帯スペクトル測定システムの構築のための,測定対象である外部信号に同期可能な「高確度・高輝度近赤外光源」として,光領域の周波数基準である気体分子固有の吸収スペクトルに安定化可能な近赤外種光に同調可能な光パラメトリック発生(PPLN-OPG)・増幅(KTA-OPA)による高確度・高輝度基準近赤外光源を設計・作製した。前年度より設計変更したことによって,励起光源としてより安定した動作が見込まれるばかりでなく学術的にも新たな知見を多く含んでおり,この基準光源を用いたテラヘルツ帯域における波長変換を利用した高確度なスペクトル計測および標準化に関する研究を進めるとともに,励起光源(近赤外領域)に関する研究を行い,これらの成果を国際会議等において報告する予定である。
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