2018 Fiscal Year Annual Research Report
形状がフレキシブルな有機半導体放射線検出器の高度化と新しい放射線量計測手法の開発
Project/Area Number |
18H01920
|
Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
高田 英治 富山高等専門学校, 電気制御システム工学科, 教授 (00270885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦戸 文彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員(任常) (60367117)
人見 啓太朗 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)
高橋 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70216753)
岡田 裕之 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (80233344)
飯本 武志 東京大学, 環境安全本部, 教授 (80302678)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 放射線計測 / 有機半導体 / インクジェット / X線 / 中性子 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a) 塗布型手法(インクジェット法)による電極形成 インクジェット法において導電性ポリマー材料を電極として塗布する方法について検討し、電極形成の可能性を示した。作成した素子にX線を照射することで、X線強度に概ね比例した電流が得られており、X線計測用素子としては動作することが確認できた。しかし、条件だしが十分に完了できず、現状ではヘッドのつまりが発生するケースがある。今後、導電性ポリマー材料の再選定を行い、このような問題が起こらないよう、十分に検討する。また、使用条件を詳細に検討し、安定して素子を作成できるようにする。 (b) パルス計測化 一般的な放射線検出器信号は電流法またはパルス法で読み出される。有機半導体素子の厚さを大きく、かつ面積を小さくすることでパルス計測化を試みた。材料的にも4HCB等について検討したが、現在までのところ良好な結果が得られていない。今後は、ペロブスカイト型素子についても検討を進める予定である。また、信号読み出しに際してガードリングを用いるなど、材料以外の面でもパルス計測可能性を向上させるための研究を行う。 (c) 中性子・イオンビームに対する感度付与 有機半導体材料による中性子計測を実現するためには、パルス計測化の実現が必要である。しかし、(b)で述べたようにパルス計測化自体が実現できていない。そこで、今後は高強度中性子ビームを用い、電流型で信号を取り出すことも念頭に、中性子計測を試みる予定である。また、放医研HIMACにより、イオンビーム照射時の特性について評価を行った。照射時に電流が発生することは確認しているが、線量率が高いときに飽和傾向を示すことがわかった。また、検出器前の空気によって生成される電子が出力電流に寄与する可能性も示されており、今後、さらに検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
真空蒸着装置の故障により、素子製作不可能な期間が長期にわたった。また、令和元年度には別装置が故障するなどしており、素子製作および特性評価に遅れが出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
装置修理も完了し、今後は予定していた実験を進めていく。インクジェット法によって作成したフレキシブルな素子を曲面形状のシンチレータと併用することで、放射線入射方向や平均的な線量を精度よく測定可能なシステムについて検討する。 また、有機半導体単結晶以外にも、近年着目されているペロブスカイト型素子を用いた検出器について検討する。これらの単結晶の厚さや大きさを制御するとともに、ガードリングによるノイズ低減などを行う。 医療用イオンビームに対する応答評価を今後も継続し、素子の詳細特性を評価する。また、外部電圧を適切に印加するなどの方法で高線量率照射時の飽和傾向の緩和を目指す。中性子を対象とする測定も、加速器中性子源を使用するなどして実験を開始する。
|
Research Products
(1 results)