2021 Fiscal Year Annual Research Report
Structure and Dynamics of Single-Crystalline Ice Ih Interfaces
Project/Area Number |
18H01934
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 祥一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60250239)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 氷 / 振動分光 / 表面 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は同位体希釈した氷Ih,LDA,HDAを調製し,OHおよびOD伸縮領域の偏光ラマンスペクトルを測定した.その結果を既報の計算と比較することによって新たな知見を得た.氷Ihのスペクトルは既報とよく一致した.[OH]が3%のときは振動カップリングの影響は無視できて,そのラマンスペクトルはODに囲まれ孤立したOHによるものとみなせる.これはピーク波数3267 cm-1,半値全幅40 cm-1の単一の鋭いバンドを示してる.[OH]を20%に上げると,半値全幅は111 cm-1まで広がり,3500 cm-1付近のショルダーバンドが強くなる.これは,振動カップリングによってOH伸縮の状態密度が波数軸上で広がったことによるものと解釈される.この傾向は[OH] = 37%でも確認できる.[OH]を67%に上げると,3120 cm-1のピークが目立ち始める.純H2Oではこれがより顕著となり,3076 cm-1にピークを持つバンドだけが極端に強くなる.[OH] = 100% での半値全幅は35 cm-1であり,振動カップリングのない3%での値よりも小さくなる.これは,100%では振動カップリングによって最も広い状態密度が実現しているものの,その中で全対称伸縮モードだけが極端に強いラマン強度を有することによるものである.LDAの各[OH]でのラマンスペクトルは氷Ihに類似しており,氷Ihで観測された鋭いバンドの幅をおよそ2倍してブロードにするとLDAのスペクトルに近いものとなる.これは不均一広がりによるもので,長距離秩序を失ったアモルファスの特徴を反映している.また,LDAでの[OH]に対する状態密度と全対称伸縮の強度の変化は,氷Ihと同様である.HDAのラマンスペクトルは,[OH]と共に半値全幅が単調に増加する.このHDAの特徴は,氷IhやLDAよりもむしろ液体に近いことがわかった.
|
Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|