2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic formation and single-particle reaction analysis of heterostructured organic-inorganic perovskites based on nanoionics
Project/Area Number |
18H01944
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
立川 貴士 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (20432437)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 雅典 京都大学, 化学研究所, 准教授 (60419463)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 有機無機ペロブスカイト / ナノイオニクス / 単一粒子分光 / 電荷移動 / 光化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノイオニクス現象のひとつであるイオン交換反応は、新物質・新機能創出のための有力なアプローチである。本研究では、太陽電池や発光デバイスなどへの応用で注目を集めている有機無機ペロブスカイトのナノ粒子を対象に、構成イオンが交換し、コア-シェル型のヘテロ構造が形成されていく様子を、1分子蛍光顕微鏡を用いてその場観測し、デバイス性能に深く関わる粒子内イオン拡散のメカニズムを明らかにする。さらに、光や熱などの外部刺激によって可逆的にイオンを駆動し、発光特性を変化できる光ナノ素子を開発し、「光ナノイオニクス」という新分野の開拓に挑戦する。 本年度は主にハロゲン混合型ペロブスカイトにおける光誘起構造変化の機構解明を目指して研究を行った。まず、BrおよびIを含むハロゲン混合型ペロブスカイトナノ粒子を再沈法によって合成した。得られたナノ粒子に対しレーザー照射を行うことで、混合状態から相分離状態への可逆的変化を誘発し、単一粒子発光法によって追跡した。ペロブスカイトの発光スペクトルが組成に依存して変化することを利用し、相分離に要する時間や暗状態で混合状態に戻るまでの時間を定量的に求めた。これらの時定数の温度依存性を解析することで、イオン拡散のダイナミクスに関する活性化エネルギーを決定した。共同研究者と協力し、表面修飾がイオン拡散や発光特性に及ぼす影響についての考察を進めた、。さらに、ペロブスカイトナノ粒子の局所的な構造変化をX線構造解析によって明らかにし、発光挙動との連動性を考察した。また、ペロブスカイトナノ粒子におけるハロゲン交換反応のその場発光観測から、分のタイムスケールの発光暗状態を見出し、ナノスケールの組成・構造変化と関連付けることに成功した。その他、関連する光機能性材料についての顕微分光研究を行った。以上の研究から得られた成果の一部は関連学会において報告済みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子の構造および発光変化に関して単一粒子観測ならではの知見を獲得することができ、メカニズムの解明に大きく近づいた。また、異なる専門分野の研究者と共同研究を進めることで研究を大きく進展できたことは、新しい学問分野を開拓する上で大変有益であった。一方、成果発表に関しては、基礎的データの取得やデータの解釈に時間を要したため、学術論文への投稿が当初の予定より遅れている。以上より、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに得られてきた有機無機ペロブスカイトのナノ構造制御および単一粒子発光観測技術をさらに発展させ、ナノイオニクスの学理構築につながる知見を獲得する。さらに、最終年度となる本年度は、得られた成果を学術論文としてまとめ、発表する予定である。
|
Research Products
(17 results)