2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development on quantum multicomponent theories and these application to protonics and positronics
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18H01945
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
立川 仁典 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (00267410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 量子多成分系理論 / 量子水素 / 陽電子化合物 / ミューオニウム化合物 / 生体超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、より実構造に近い理論計算を実現するために、申請者が開発してきた量子多成分系分子理論手法を高精度化し、かつ周囲環境を適切に取込む、(1)多階層量子多成分系理論の高度化・システム構築を行うことにある。それにより、水素・陽子が関わるプロトニクスや陽電子が関わるポジトロニクスにおいて、可能な限り実構造に近い(2)量子水素系、陽電子・ミューオン系の高精度・大規模計算を実現する。 (1)多階層量子多成分系理論の高度化・システム構築: 多階層量子多成分系理論手法のために、局在基底、平面波基底、分子力場を多階層的に取込む手法の開発、および高並列化効率を見据えて階層的MPI/ OpenMPを応用したプログラム実装を行っている。 (2)量子水素系、陽電子・ミューオン系の高精度・大規模計算: 本年度から早速、応用計算として、量子水素系、陽電子化合物、およびミューオニウム化合物の高精度計算を実施した。量子水素系としては、C60フラーレンの中に水素分子を含めた経路積分計算を行い、C60H2系に与える量子揺らぎの影響を理論的に見出した。本研究成果は、既にPCCP誌に掲載された。陽電子化合物においては、海外研究協力者のSurko (米)らが実測した、アセトアルデヒド分子の陽電子吸着能をターゲットとした。高精度な多成分系分子理論だけでなく、非調和性を含めた分子振動状態も考慮したところ、各振動準位によって陽電子吸着能が変化することを見出した。またアミノ酸において陽電子付着により、OH伸縮に大きな影響を及ぼすことも見出し、この研究成果をJCC誌に報告した。またミューオン化合物の計算も実施し、特に超微細結合定数に着目して、現在計算結果をまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多階層量子多成分系理論手法の構築とプログラム実装を行い、既存プログラムとのリンクにも成功した。また初年度から早速、応用計算として、量子水素系、陽電子化合物、およびミューオニウム化合物の高精度計算も実施した。いくつかの研究成果は既に多くの学会発表や論文として報告しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き理論手法開発およびプログラム実装により、多階層量子多成分系理論手法を深化させる。また水素・陽子が関わるプロトニクスや陽電子が関わるポジトロニクスにおいて、数多くの応用計算も実施していきたい。実験研究者との共同研究も活性化させる。一方、当初雇用を予定していた博士研究員であるが、初年度に本研究課題遂行のための適切な人材をみつけることができなかったため、次年度に適切な人材を探していきたい。
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Research Products
(21 results)