2018 Fiscal Year Annual Research Report
有機材料による多励起子生成反応の新展開:新規材料と逐次反応の実験的探索
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18H01957
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多励起子生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、二量体分子の一重項分裂(SF)に関する爆発的な研究進展が見られるものの、一重項分裂を介した量論的な二電子移動の報告は未だ皆無である。代表的なSF分子であるペンタセンとは異なり、テトラセンを用いると、このような逐次反応への展開が期待できるが、問題点として逆反応である迅速な三重項-三重項消滅 (TTA)による阻害が挙げられる。そこで本研究では、2,2’-ビフェニレンリンカーとしたテトラセン二量体を合成し、分子内高効率SFおよび生成したT1からの定量的な分子間電子移動の観測を行った。その結果、テトラセン二量体では独立した三重項励起子の高効率生成(ΦT = 175%)だけでなく、クロラニルを電子アクセプターとして一重項分裂を介した量論的な分子間電子移動反応 (ΦET = 173%)をはじめて実現した。また、ペンタセン二量体を修飾した量子ドット(QD)ではQDの選択的光励起からペンタセンへのエネルギー移動と続くSFの高効率逐次反応の観測(ΦT = 160%)にはじめて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一重項分裂と電子移動/エネルギー移動の逐次反応観測について世界で初めて発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にあるように、今後はより複雑な一重項分裂の関与した逐次反応系へ展開する予定である。
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