2020 Fiscal Year Annual Research Report
有機材料による多励起子生成反応の新展開:新規材料と逐次反応の実験的探索
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18H01957
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一重項分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では有機材料の多励起子生成反応である一重項分裂について新規材料や逐次反応び探索を実験的に行うことを目的としている。まず、従来的な一重項分裂材料であるペンタセンより一重項及び三重項ともにエネルギーが高いテトラセンの二量体で高効率一重項分裂発現を検討した。テトラセン二量体はフェニル基やビフェニル基をスペーサーとした一連の化合物の合成に成功し、過渡吸収分光測定によりビフェニル基で連結したテトラセンダイマーで量論的な三重項量子収率(200%)を達成した。また、時間分解電子スピン共鳴による構造可視化により強相関の三重項対からの開裂過程では構造変化が確認され、一重項分裂による高効率三重項励起子生成には構造柔軟性のあるスペーサー選択が不可欠であることが明らかとなった。 次に、一重項-一重項間の励起エネルギー移動と一重項分裂の逐次反応の観測を目的としてペンタセン修飾量子ドットを合成した。時間分解分光測定では量子ドットの光吸収過程から量子ドット→ペンタセンへの一重項-一重項エネルギー移動が確認され、その後、近接ペンタセン間の一重項分裂が観測された。特に、強調すべき点としてこの一連の逐次反応は量論的に進行しており、量子ドットの光吸収に対するペンタセンの励起三重項の生成量子収率は200%という極めて高効率な結果が得られたことである。本研究成果は一重項分裂の発現において量子ドットと組み合わせることで可視領域での極めて幅広い領域で光吸収が可能となり、今後の光エネルギー変換系の構築に極めて有用な知見が得られたと考えている。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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