2018 Fiscal Year Annual Research Report
プラズモニックナノ構造を駆使した多励起子緩和過程制御法の確立
Project/Area Number |
18H01958
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
増尾 貞弘 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80379073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 光陽 関西学院大学, 理工学部, 助教 (20802226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 量子ドット / 単一光子 / 単一分子検出 / プラズモン / 金属ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
発光材料や光電子デバイスの高効率化には、効率的に励起子を生成させ、その励起子を有効に活用することが必要不可欠である。しかしながら、複数の励起子(多励起子)が生成すると「励起子消滅」が起こり励起子は失活してしまう。本研究の目的は、プラズモニックナノ構造を駆使し「励起子消滅が起こる前に多励起子から多光子を取り出す、または励起子消滅後に1つの励起子から1つの光子を取り出す方法」を確立することである。この目的を達成するために、本年度は以下の研究項目を行い研究実績を得た。 1.光子取り出しとオージェ再結合速度の相関解明に向けて 上述のように、系の中の複数の励起子が生成すると励起子消滅が起こる。半導体ナノ粒子(量子ドット)の場合、この過程はオージェ再結合過程として知られている。上記の相関を解明するためには、オージェ再結合速度を制御した量子ドットを用いる必要がある。そこで、励起子閉じ込め効果によりオージェ再結合速度が比較的速いCdSe/ZnSコア/シェル量子ドット、および励起子閉じ込め効果が弱くオージェ再結合速度が遅いCdSe/CdSコア/シェル量子ドットの合成条件を種々検討することにより、それぞれの量子ドットで粒径が異なりオージェ再結合速度を制御した量子ドットの合成に成功した。また、単一量子ドット測定により、多光子発生挙動を測定することでオージェ再結合速度について知見を得ることに成功した。 2. マルチクロモファーデンドリマー分子を用いた多光子取り出しの検討 この分子は1分子内に複数の発光体を有するため、1分子内に複数の励起子を生成可能な有機分子である。この分子を用いることにより、プラズモンと相互作用させた場合の光子取り出し効率について新たな知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「光子取り出しとオージェ再結合速度の相関解明」については、オージェ再結合速度を制御した量子ドットの合成に成功している。具体的にはオージェ再結合速度が速いタイプ1型コア/シェル量子ドット、およびオージェ再結合速度が遅い擬タイプ2型コア/シェル量子ドットの合成に成功し、そのオージェ再結合速度の測定から知見を得ることに成功した。これは、当初の計画通りであることから、おおむね順調に進展していると考えることができる。さらには、その後の予定である「有機ナノサイズ発光体を対象とした研究」についても研究を推進しており、マルチクロモファーデンドリマーを用いた研究から新たな知見を得ることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
オージェ再結合速度を制御した量子ドットの合成に成功したため、今後は当初の計画通り、この量子ドットを対象としプラズモニックナノ構造と相互作用させることにより、光子取り出しを詳細に検討する予定である。プラズモニックナノ構造として、「金属コートしたAFMチップ」および「周期構造からなるプラズモニックナノ構造」を用い、研究を推進していく予定である。
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