2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development and functionalization of NIR-light-responsive diazaporphyrin sensitizers
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18H01961
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
俣野 善博 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40231592)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジアザポルフィリン / 近赤外光 / ラジカル / 一重項酸素 / 鋳型環化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は複数の課題に取り組んだ。まず、meso位の窒素上に置換基をもつ5,10,15,20-テトラアリール-5,15-ジアザポルフィリン(TADAP)について、2つの化合物群を新たに構築した。一つ目は、TADAPコバルト錯体であり、前駆体となるジピリンと2価のコバルト塩を撹拌するだけで目的物がほぼ定量的に生成することを見いだした。得られたコバルト錯体の電気化学的性質を調べた結果、ポルフィリン環に加えコバルト上での酸化・還元も可逆的に進行し、π系の吸収特性が酸化状態に連動して大きく変化することが明らかとなった。二つ目は、四つのmeso位にカルボキシフェニル基を持つTADAPであり、代表者らが開発した鋳型環化法を利用して銅錯体を合成することに成功した。前駆体となるエステル体は水に難熔だが、カルボン酸塩は水に易溶であり、水溶性TADAPの初めての例となる。この誘導体もπ系の吸収特性が酸化状態に連動して変化し、19πラジカルが近赤外領域に強い吸収帯を示すことを確認している。一方、カルボキシ基を有する水溶性TADAPの合成を検討する過程で、meso窒素上のアルキル基にエステル部位を導入すると、塩基性条件下で脱アルキル化が進行し、meso窒素上に置換基をもたないDAPの銅錯体が生成することを見いだした。この手法は、従来のDAP合成で用いられていたアジ化ナトリウムの使用を回避できる点で優れており、DAP金属錯体の新規合成法になり得ると考えている。また、昨年度に続きDAP銅錯体の光物性を詳しく調べるため、過渡吸収測定とリン光寿命測定により、ポルフィリン環に導入した置換基がDAP励起状態のダイナミクスおよび一重項酸素発生効率に与える影響を明らかにした。得られた研究成果について、9つの学会発表を行ったほか、1報の論文として報告した。その他、課題に関わる内容の総説1編を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は複数の課題に取り組んだが、水溶性ジアザポルフィリン誘導体の合成法を確立したことで、その吸収特性や電気化学的性質を詳しく調べることができた。また、合成を検討する過程でメソ位窒素上での脱アルキル化が進行することを見いだし、ジアザポルフィリン銅錯体の新規合成法の開発につなげることができた。一方、継続的な課題として銅錯体の光物性をさらに詳しく調べ、励起三重項のダイナミクスに対するポルフィリン環に導入した置換基の効果を系統的に評価することができた。さらに、将来的なレドックス光触媒への展開をめざし、ジアザポルフィリンコバルト錯体を合成する簡便な方法を確立した。2020年度はコロナ禍で研究活動の開始時期が遅れたが、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画に沿う形で、医療用増感剤やイメージング材料への展開を視野に入れ、特に近赤外領域に高い吸収特性をもつ水溶性あるいは親水性ジアザポルフィリン誘導体を合成し、置換基と中心金属が光増感による一重項酸素発生効率や項間交差過程に与える影響を明らかにしていく。また、細胞膜透過性が高い誘導体の開発を念頭に置き、置換様式の非対称化を基軸とする両親媒性色素の合成にも取り組む。過渡吸収測定や過渡ESR測定を含む一部の物性評価については、学内外の研究者と協力しながら研究を推進していく予定である。
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Research Products
(12 results)