2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of metal-free organic room temperature phosphorescent material by control of crystal phase composite interaction
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18H01967
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
池田 浩 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30211717)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発光 / 項間交差 / X線結晶構造解析 / 分子間相互作用 / ハロゲン結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では含ヨウ素有機ボロン錯体2を中心に用いて、1)メタルフリー有機常温りん光結晶の創製と2)理論化学的解明を行った。そしてこれを基に3)メタルフリー有機常温りん光現象発現の新原理の確立、そして4)メタルフリー有機常温りん光物質の普遍的な分子設計・結晶制御指針の考察を行った。 具体的には、①合成、②溶液中および結晶中の分光測定(吸収)、③溶液中および結晶中の分光測定(発光)、④X線結晶構造解析、⑤理論化学計算、⑥新原理の確立、⑦指針の提案の7項目における研究を行った。特に、①については、特異な積層構造を構築しうるヨウ素を置換基として有するボロン錯体2Bが 2018年度に合成が完了しなかったが、2019年度には微量ながらも達成し、あとは大量合成を行うだけである。ボロン錯体2および関連するシクロファン誘導体の②、③の項目に関係し、2018年度第4四半期に急遽開始したダイアモンドアンビルセル(DAC)を用いた吸収や発光などの圧力依存性などについては2019年度に学生を派遣して再実験等を行い、信頼度の高いデータを得た。また、やはり2018年度第4四半期に急遽開始した高エネルギー加速器研究機構での時間分解X線実験についても2019年度に学生を派遣して再実験を行った。光励起状態の結晶構造解析の結果については、解析は容易ではなく現在も継続中である。 ヨウ素原子の項間交差を結晶中で積極的に活用する本研究はまだ基礎研究段階ではあるが、結晶工学と光化学の融合に基づいた「メタルフリー有機常温りん光」という新しい学理の確立に貢献できる。将来的には、その成果により,様々なメタルフリー有機常温りん光物質を社会に提供できることが期待される。さらには、有機EL用やバイオイメージング用の革新的な発光物質の提供による、産業・医学への応用・展開という社会実装が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の様に、①合成のごく一部において未だ課題を残すが、その他の②~⑦についてはほぼ順調に進行している。特に、2018年度第4四半期に急遽開始したダイアモンドアンビルセル(DAC)を用いた高圧下の実験では興味深い結果が得られ、その信頼度も確認した。また、同じく急遽開始した高エネルギー加速器研究機構での時間分解X線実験で、光励起状態の結晶構造解析を試みるなど、挑戦的な研究も続いている。 従って、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、①合成、②溶液中および結晶中の分光測定(吸収)、③溶液中および結晶中の分光測定(発光)、④X線結晶構造解析、⑤理論化学計算、⑥新原理の確立、 ⑦指針の提案の7段階からなる。特に、①については、特異な積層構造を構築しうるヨウ素を置換基として有するボロン錯体2Bの合成はできたものの、2019年度中には大量合成にはいたらなかったので、2020年度に行う。また、当初から予定していた錯体3A-C、そして2018、2019年度の結果を受け、シクロファン構造を有する新たなボロン錯体を来年度に合成する。②③の項目については、当初の計画にはなかったダイアモンドアンビルセル(DAC)を用いた高圧下の実験を引き続き継続する。また、高エネルギー加速器研究機構での時間分解X線実験で得た、光励起状態の結晶構造解析も引き続き行う。④については、DACに対応させて高圧下の結晶構造解析も行う。⑤から⑦の項目については 大きな変更や問題は無い。2020年度は最終年度であることから、英文報告による成果発表を急ぎたい。
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Research Products
(83 results)
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[Journal Article] Exergonic Intramolecular Singlet Fission of an Adamantane-Linked Tetracene Dyad via Twin Quintet Multiexcitons2019
Author(s)
Matsui, Y.; Kawaoka, S.; Nagashima, H.; Nakagawa, T.; Okamura, N.; Ogaki, T.; Ohta, E.; Akimoto, S.; Sato-Tomita, A.; Yagi, S.; Kobori, Y.; Ikeda, H.
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Journal Title
The Journal of Physical Chemistry C
Volume: 123
Pages: 18813-18823
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Microflow Photochemical Synthesis and Organic Semiconductor Characteristics of Tetrathienonaphthalene2019
Author(s)
K. Taniguchi, Y. Matsui, T. Asada, M. Kumeda, A. Yamamoto, K. Takagi, Y. Suenaga, K. Nagae, E. Ohta, S. Koseki, H. Naito, H. Ikeda
Organizer
The 18th International Symposium on Novel Aromatic Compounds (ISNA-18) (Sapporo, Japan, July 2019)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Induction of Helical Chirality of Foldamer Possessing Triethylene Glygol Chains2019
Author(s)
T. Tsuno, S. Koga, E. Ohta, S. Tani, T. Ogaki, Y. Matsui, H. Ikeda
Organizer
The 7th HCMUT-TKU-OPU-KMITL-DLU-TNU Joint Symposium on Chemistry, Environment, Natural Sciences and Technologies (JSCENS-7) (Ho Chi Minh City, Vietnam, November 2019)
Int'l Joint Research
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