2021 Fiscal Year Annual Research Report
π電子イオニクス:電荷を有するπ電子系の合成と自在な集合化
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18H01968
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80388115)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | π電子系 / イオンペア / 集合体 / 電子物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、新たなπ電子系イオンを創製し、その集合化および電子機能材料・デバイスへの展開、さらに物性や集合体形態に関わる学理の解明に挑戦した。本年度は、電子機能性材料への展開がなされている非荷電型π電子系を凌駕する、新たな物性・機能性の発現が期待される荷電π電子系で構成される集合体の詳細な検証を実施した(総説:Bull. Chem. Soc. Jpn. 2021, 有機合成化学協会誌2022)。荷電π電子系の前駆体であるアニオン応答性π電子系(光物性:Phys. Chem. Chem. Phys. 2022)に関し、超分子ポリマー(Org. Biomol. Chem. 2021)、光駆動蛍光パターニング(Chem. Commun. 2021)、[2+1]型会合(J. Porphyrins Phthalocyanines 2021)、アニオンセンシングの静水圧制御(Chem. Sci. 2021)、架橋部位(1,3-ジケトン)へのPt(II)の導入(Chem. Eur. J. 2021)を実現した。またπ電子系に導入した酸ユニットの脱プロトン化によるπ電子系イオンペアの形成を検証し(Org. Lett. 2021)、さらにポルフィリン骨格を有するπ電子系アニオンがカチオン種と相互作用することを利用して、新たなイオンペアとその集合体の構築に成功した。適切な荷電π電子系がこれまでに開発されていなかったことから、荷電π電子系間にはたらく相互作用は十分に検証されていなかったが、われわれはiπ-iπ相互作用として新たに提唱した。荷電π電子系を適切に組み合わせることにより、アニオンとカチオンの相対的な配置によって、多様な集合体形態が構築された。イオンペア集合体の単結晶構造におけるエネルギー分割解析によって、静電力と分散力がiπ-iπ相互作用のおもな因子であり、π電子系イオンペアの積層構造を安定化していることを解明した。同種電荷種の積層構造をもつ結晶では、光照射によってπ電子系アニオンからの電子移動と帰属される過渡吸収スペクトルが観測された(Chem. Sci. 2021)。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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