2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H01983
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40316021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津留崎 陽大 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40623848)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘリセン / 多重ヘリセン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、[5]ヘリセニルアラインとジメチルアセチレンジカルボン酸とのエナンチオ選択的交差三量化反応による光学活性な三重ヘリセンの合成に取り組んだ。まず、本研究を行うにあたり、三重ヘリセンのラセミ化障壁の測定を行ったところ、十分なラセミ化障壁を有していることが分かった。そこで、不斉配位子を用いて、パラジウム触媒存在下で[5]ヘリセニルアラインとジメチルアセチレンジカルボン酸とのエナンチオ選択的交差三量化反応により三重ヘリセンの合成を行った。その結果、非常に高いエナンチオ選択性で対応する三重ヘリセンを合成することができた。また、生成物の絶対立体配置はX線結晶解析によって行った。光学活性三重ヘリセンの光学的な物性をCDおよびCPLによって明らかにした。現在、三重ヘリセンが立体選択的に得られる反応機構について、理論化学計算によって明らかにすることを目的として、検討を行っている最中である。さらに、光学活性三重ヘリセンを生成物の有用な有機分子に変換するべく検討を行っている。これらの成果を学術誌に投稿するための準備を同時に進めている。一方、我々は[5]ヘリセニルアラインのホモ三量化反応により、六重ヘリセンが得られることを既に報告している。この際、C2対称性を有する六重ヘリセンが速度論支配生成物として得られることがわかっている。そこで、このC2対称性を有する六重ヘリセンが選択的に得られる理由について、理論化学計算を用いて検証を行った。この成果についても学術誌に投稿するための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、エナンチオ選択的な三重ヘリセンの合成において、大いに進展があった。また、この成果を学術誌に投稿するための準備を進めており、予定どおり良好に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた光学活性な三重ヘリセンを不斉触媒反応の配位子や有機分子触媒などに活用できる分子へと変換を行い、様々な不斉触媒反応に利用することを検討する。さらには、予定していた三重ヘリセンの自己集合による多重ヘリセン会合体が可能であるかどうかについて検討を行っていく。また、ヘリセニルトリプチセン類の合成についても検討を引き続き行っていく予定をしている。これまでの検討から、2つのヘリセンユニットが導入されたトリプチセン類の合成に成功しているため、さらに詳細な構造や物性、および包接挙動について調べていく。また、ヘリセニルアラインの重合反応についても、構造情報を得ることができるようにX線結晶解析を検討する予定をしている。
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