2019 Fiscal Year Annual Research Report
Stimuli-Responsive Synthetic Ion Channels Based on Metal-Organic Polyhedra
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18H01995
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 修平 京都大学, 高等研究院, 教授 (90452276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 竜司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90401702)
坂口 怜子 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (80723197)
臼井 健二 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (70543792)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオンチャンネル / 金属錯体多面体 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属錯体多面体(MOP)分子を脂質膜へ埋め込み、MOPが有するナノ細孔を介したイオン伝導性を、光・タンパク質といった様々な物理的・化学的な外場により制御することを目的とする。具体的には、(1)外場応答性部位を有するMOP分子の合成及び脂質膜中への融合、(2)単分子レベルでのイオン電流計測、(3)細胞膜への融合による生体応用を行う。申請者は「世界にさきがけて」、ナノ細孔を有する金属錯体多面体の脂質膜への導入、イオン伝導解析手法を確立した実績を有している。本申請では、様々な外場に応答して単分子レベルでイオン伝導制御が可能な人工イオンチャネルを合成し、タンパク質からなる天然イオンチャネルを凌駕する分子を創造するための足がかりとする。 2019年度は、初年度に明らかにしたプロリンをN末端に有し、キナーゼ認識部位を有する12のアミノ酸からなるペプチドを合成した。様々な溶媒の組み合わせによる条件を検討した結果、立方八面体構造を有しロジウムを中心金属に有するMOPのロジウム配位サイトへのペプチドのプロリンによる配位を、紫外可視吸光スペクトルにより確認し、MOPペプチド複合体の合成に成功した。さらに、このMOPペプチド複合体を脂質二分子膜中に埋め込むための条件をスクリーニングした結果、イオン電流計測によりMOPペプチド複合体の膜中への導入を示唆するデータが得られた。これにより、キナーゼ認識部位を有するMOPペプチド複合体を脂質膜中に導入することに成功し、キナーゼにより化学的に制御可能な人工イオンチャネルの創成に大きく近づいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度に明らかにしたプロリンのMOPへの選択的配位能を利用し、プロリンをN末端にもつペプチドを合成した。特に、キナーゼにより選択的にリン酸化可能であるキナーゼ認識部位を有するペプチドを合成し、様々な条件検討を行った結果、ペプチドのMOPへの配位、MOPペプチド複合体の脂質二分子膜への導入、そしてイオン電流計測を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、MOPペプチド複合体の形成、脂質二分子膜中への導入が確認された。今後は、キナーゼを導入した後にどのようにイオン電流が変化するかという、化学的な外場による人工イオンチャネルのイオン電流制御を目指して研究を行う。
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