2019 Fiscal Year Annual Research Report
バイポーラ電気化学マイクロデバイスの高性能化と高機能化
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18H02001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイポーラ電気化学 / 電気化学発光 / 電位制御 / イオン感応膜 / 金属接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
多項目同時バイオセンシングを目指したバイポーラ電気化学デバイスの開発を進めてきた。初年度、バイポーラ電極の一部に銀/塩化銀を形成することにより、アノード、カソード両端の電位制御が可能なことを確認した。しかし、ここでの問題は、溶液と銀/塩化銀界面で銀/塩化銀の電極反応により電流が発生してしまい、これがアノード、カソードでの電極反応を検出する上での誤差を生じる点であった。そこで、銀/塩化銀の代わりに、界面での電流発生がないナトリウムイオン感応膜を用いた。バイポーラ電極の一端では酸素の還元を、他端では電気化学発光を起こし、電気化学発光の強度より、バイポーラ電極内での酸化還元反応を調べた。バイポーラ電極上でのイオン感応膜の位置、ナトリウムイオン濃度の変化に伴い、電気化学発光の強度の変化が認められ、ナトリウムイオン感応膜によりバイポーラ電極上の電位制御が可能なことが示された。また、折り畳みバイポーラ電極構造にこの手法を用いることにより、より感度が増強されることも確認された。同様の電位制御効果は、バイポーラ電極を異なる溶液中に配置した閉じたバイポーラ系でも認められた。 一方、上記の閉じたバイポーラ系の応用例として、作用極、参照極、対極の別々の区画に満たした溶液を金属で接続した3電極系の挙動を調べた。作用極-参照極間に電流が流れない場合には、これらの電極間を液絡で接続した場合と同様のサイクリックボルタモグラムが認められた。作用極-参照極間に電流が流れる接続方法の場合も、十分に電流が小さい場合には、波形のゆがみのない、液絡で接続した場合と同様のサイクリックボルタモグラムが認められた。さらに、より一般的な使用を目指し、両端に酸化膜を形成したイリジウム線で接続しても、同様の効果があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ申請書に記述した通りのスケジュールで、期待された結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はバイポーラ電極にDNA等の生体関連分子を固定し、開いたバイポーラ系、閉じたバイポーラ系の特徴を活かした集積型多項目同時検出チップを実現する。
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Research Products
(6 results)