2019 Fiscal Year Annual Research Report
ドーナツビーム型エアロゾル粒子捕捉法の雲粒発生機構解明への応用
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18H02006
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石坂 昌司 広島大学, 理学研究科, 教授 (80311520)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 界面・微粒子分析 / レーザー分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
エアロゾルを足場とした雲粒の発生過程は、気候変動予測における最大の不確定要素である。大気中には多種多様な微粒子が混在しているため、微粒子集合系の平均値解析では現象の解明に限界があり、個々の微粒子を直接観測可能な分析手法の開発が強く望まれる。本研究では、特に気候への影響が大きく、従来のレーザー捕捉法が適応できない黒色炭素粒子に着目し、単一の黒色炭素粒子を空気中の一点に非接触で浮遊させ、雲粒の発生を再現する新規計測法を開発する。これまでに我々が開発したドーナツビームを用いるレーザー捕捉法では、ロウソクの燃焼により発生した煤を一旦、固体基板の上に捕集し、マイクロマニピュレーターを用いて固体基板から黒色炭素微粒子を気相中に持ち上げ、レーザー捕捉空間内に導入する必要があった。2019年度は、燃焼によって発生した黒色炭素微粒子を固体基板に捕集することなく、そのままレーザー捕捉し計測するための実験手法の改良を行った。線香の燃焼によって発生した煙(黒色炭素微粒子)を光学顕微鏡のステージ上に設置した反応容器へ直接導入し、気相中において観測することに成功した。また、黒色炭素微粒子のオゾンによる不均一酸化反応を誘起するため、オゾン発生装置を設備備品として導入した。オゾンの発生量は、原料ガスの種類(空気または酸素)及びガスの流量に依存する。ヨウ化カリウム水溶液にオゾンガスを通過させ、遊離したヨウ素を酸化還元滴定することによりオゾンを定量し、実験条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に、走査型ガルバノミラーシステムを用いて捕捉空間の大きさを制御可能な新規ドーナツビーム型エアロゾル粒子捕捉光学系を構築した。また、2019年度には、黒色炭素微粒子を固体基板に捕集することなく、反応容器へ直接導入できるように装置の改良を行った。線香の燃焼によって発生した煙の大きさは直径2マイクロメートル以下で、ロウソクの不完全燃焼によって発生させたスス粒子径(数十マイクロメートル)よりも小さい。これまでに実施した装置および実験手法の改良により、気相中の様々な大きさの黒色炭素粒子をレーザー捕捉し検出することが可能となった。また、オゾン発生装置の導入により、反応チャンバー内へのオゾンガスの定量的な供給が可能となり、不均一酸化反応の速度論的な解析を行う準備が整った。以上より、本研究課題は、当初研究計画通りおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ドーナツビーム型レーザー捕捉装置を用いて、気相中に非接触で浮遊させた黒色炭素微粒子のオゾンによる不均一酸化反応に関する研究を実施する。オゾン発生装置を用いて、オゾンガスを反応チャンバー内への定量的に供給する。黒色炭素微粒子表面で進行する化学反応をラマンスペクトルの変化として検出し、オゾンによる不均一酸化反応の速度論的な解析を行う。一般に、炭素粒子表面は疎水性であるため、発生した直後のススは雲凝結核として振舞わないが、大気中を輸送される間に活性酸素と反応し、表面が親水化して雲凝結核としての機能を獲得すると考えられている。しかしながら、従来の微粒子集合系を測定対象としている実験では、黒色炭素粒子個々の化学組成を直接計測することが困難であった。最終年度は、レーザー捕捉法を駆使し、黒色炭素粒子表面の不均一酸化反応がどこまで進行すれば、雲凝結核として振舞うかを定量的に評価する研究を推進する。
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Research Products
(8 results)