2019 Fiscal Year Annual Research Report
カスケード反応を用いた化学レジスタセンサの超高感度化
Project/Area Number |
18H02016
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石原 伸輔 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (30644067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Labuta Jan 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (00720690)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | センサ / エチレン / 触媒 / ワッカー反応 / カーボンナノチューブ / ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新たな共同研究を通じてエチレンを高効率的にアセトアルデヒドへと変換する不均一触媒の開発に成功し、エチレンを含む空気を通過させるだけでアセトアルデヒドへの定量的変換が可能となり、センサの小型化と高感度化に飛躍的な進展が見られた。得られた触媒は、Pd-V2O5-TiO2で、わずかな加温(40℃)によって、ppmレベルのエチレンを100%アセトアルデヒドに変換できた。これは一般的なWacker反応の温度(おおむね80℃以上)と比べて、温和である。発生したアセトアルデヒドをヒドロキシルアミン塩酸塩と接触させ、塩酸蒸気とし、これを半導体カーボンナノチューブを担持した電極で検出することにより、0.1ppmのエチレンを検出できた。この仕組みは、カスケード反応による物質変換を介在させているため、カスケード反応中のステップを意図的に省いたセンサを比較対象として用いることで、エチレンの高選択的な検出が可能であることも示した。また、カスケード反応を一時的に停止させることで、検出対象ガス(エチレン)を含まない清浄空気を用いることなく、電気抵抗値の相対的な変化量としてエチレンを検出する機構についても提唱した。これらの達成により、カスケード反応を用いた高感度化学レジスタセンサの概念実証に成功したといえる。エチレンは野菜や果物から放出されるガス分子で、野菜や果物の熟成を促進させる植物ホルモンである。保存庫内のエチレン濃度を常時モニタリングして熟成の進行を予測すれば、最適な輸送・保存管理につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カスケード反応を用いた高感度化学レジスタセンサの概念実証に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる高感度・高選択化や、ほかのガスをターゲットとしたセンサの開発を進めていく予定である。
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