2018 Fiscal Year Annual Research Report
高分子融液の基板への展開挙動の分子鎖レベルAFM観察
Project/Area Number |
18H02025
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
熊木 治郎 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (00500290)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 展開挙動 / 高分子ブレンド融液 / 原子間力顕微鏡 / 高分子孤立鎖 / プレカーサーフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
イソタクチックポリメタクリル酸メチル(it-PMMA)/PMMAオリゴマーの混合融液がマイカに高湿度下で展開する様子を原子間力顕微鏡(AFM)を用いてin situ、実時間観察した。 まず、巨視的な液滴の展開挙動を検討し、液滴が時間と伴に減少しマイカ上に展開することがわかった。また、その展開速度は湿度に大きく影響を受け、高湿度の方が速く展開することがわかった。厚みが薄く、軟らかいプレカーサーフィルムはAFMで直接観察することはできないが、液滴の体積減少からプレカーサーフィルムの膜厚を仮定し、プレカーサーフィルムの展開速度を評価した。 その結果を元に、展開しているプレカーサーフィルムを観察したところ、マトリックス相のPMMAオリゴマー分子は観察できないが、混合融液に少量可溶化させたit-PMMAポリマーが活発に流動する様子を観察することに成功した。これは、柔軟な高分子鎖が展開する様子を分子レベルで観察した初めての例である。it-PMMA分子は、マトリックスのオリゴマーによって流動方向に分子の形を変え、流動しており、その展開速度は、マトリックスのオリゴマーの展開速度の1/30程度であった。今後、分子の変形の様子を詳細に解析すること、液滴の展開速度は湿度に大きく依存するため、湿度を変化させて挙動を観察すること、さらにit-PMMAの分子量を変化させて検討を行うことで、高分子の展開挙動を分子レベルでより明確化できるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
it-PMMA/PMMAオリゴマーの混合融液がマイカに高湿度下で展開する様子をAFMを用いて観察し、プレカーサー中を流れるit-PMMAポリマーを分子レベルで観察することに成功したこと。これは、柔軟な高分子鎖が流動する様子を初めて分子レベルで観察したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な湿度における液滴の展開挙動、プレカーサー中でのit-PMMAポリマーの展開挙動を観察し、高分子の基板上での展開挙動を明らかにする。また、it-PMMAの分子量を変化させた場合の挙動変化についても検討を行う。
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Research Products
(9 results)