2018 Fiscal Year Annual Research Report
Nanophase separation induced lamellar structuring in amorphous homopolymer
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18H02026
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松井 淳 山形大学, 理学部, 教授 (50361184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 修作 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40362264)
源明 誠 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (70334711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ相分離 / ラメラ構造 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は申請者が見いだした同一高分子鎖内における主鎖と側鎖間の相分離”ナノ相分離”現象の機構解明と、ブロックコポリマーで発生するミクロ相分離とを組み合わせた高分子階層構造を構築するものである。本年度はその機構を解明する目的としてナノ相分離によりラメラ構造を構築することが明らかとなっているアルキルアクリルアミド系高分子を基盤としアルキル側鎖長(n)依存性について検討した。まずn=4-19までのアルキルアクリルアミド高分子を合成しそのバルク物性について検討した。合成したアルキルアクリルアミド高分子は全て室温以上にガラス転移温度(Tg)を有した。また結晶化した側鎖の融解(TM)がみられ(このTMは一般的に高分子の融解に用いられる融点Tmとは異なる)これはnが大きくなるにつれ高温になった。TMの値は他の研究者が報告されているように、同一側鎖長のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートと同様であった。これらの高分子薄膜の構造をX線回折(XRD),赤外分光法(FT-IR)、原子間力顕微鏡(AFM)で行ったところ、一般的な熱アニールではアモルファス状の膜が観測された。一方でナノ相分離を誘起するために加湿下でアニールを行ったところnが8以上にラメラ膜へと自己組織化する事がわかった。さらにXRDの回折ピーク強度および高次ピークの出現の有無からn =9~14の側鎖長のものが高い均一性を示すラメラ構造を形成することがわかった。n=4~7のアルキルアクリルアミド高分子では側鎖の疎水性が低いために十分な相分離力が得られずにラメラ構造化しないと結論づけられた。一方でnが15以上では側鎖の結晶性が高くなるために斥力である相分離と競合し高度なラメラ構造化が形成されづらいと考えられる。以上の結果はナノ相分離が主鎖周りの親水性と側鎖の疎水性との相分離であることを支持している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りアルキル側鎖依存性を検討する事で、くし形高分子のラメラ構造化が同一高分子鎖内の主鎖と側鎖間の相分離“ナノ相分離”であることを明らかにできたため。またドデシルアクリルアミド高分子の分子量依存性からもナノ相分離機構支持する結果が得られ、申請者が見いだしたナノ相分離機構を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果より同一高分子鎖の主鎖と側鎖間における相分離によりラメラ構造を形成する事が明らかとなった。これまではナノ相分離を誘起するために水蒸気を利用していた。今後は主鎖の親水性を高める手法としてアクリル酸やビニルホスホン酸などの極性モノマーを共重合により導入することで一般的な熱アニールにおいてもラメラ構造を形成することを示す。また極性溶媒であるイオン液体中でのアニールによりラメラ構造化を行うと同時にイオン液体をラメラ膜親水領域へ閉じ込めることでラメラ平行方向と垂直方向でのイオン移動度の異方性を示す異方イオン伝導材料への応用へと展開する。
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Research Products
(20 results)