2018 Fiscal Year Annual Research Report
Bottom-up Preparation of Functional Gel Materials Composed of Crystalline Oligosaccharides
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18H02029
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
芹澤 武 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (30284904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 敏樹 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20581078)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セルロース / 酵素反応 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次年度以降に使用するセルロースオリゴマーやその誘導体を酵素合成するとともに、水中におけるそれらの自己組織化について予備検討を実施した。酵素には、高熱菌由来の加リン酸分解酵素であるセロデキストリンホスホリラーゼ(CDP)を用いた。CDPは本来、重合度6以下の水溶性セルロースオリゴマーを非還元末端から加リン酸分解する酵素であるが、ここでは、その逆反応、つまりセルロースオリゴマーの合成反応を利用した。本酵素合成系により、セルロースオリゴマーやその誘導体を酵素合成できた。その際の原料や酵素の濃度、反応温度、緩衝液の種類と濃度などの影響を精査し、酵素反応機構あるいは生成物の溶解性やコロイド安定性の観点から、それらの結果を考察した。その結果、単位酵素当たりに合成可能な生成物量を明らかにするとともに、分子量(重合度)が異なるセルロースオリゴマーを酵素合成するための条件を見出した。さらに、電荷、親・疎水性、反応性などを有する機能基を還元末端に導入したグルコースを原料(プライマー)に用いることで、機能基が導入されたセルロースオリゴマーを酵素合成できた。これにより、本酵素におけるプライマー基質の許容範囲について分子構造の観点から明らかにした。一方、セルロースオリゴマーをアルカリ水溶液に溶解し、酸で中和することにより自己組織化させた結果、所定条件下においてセルロースオリゴマーが自己組織化し、結晶性ナノリボンの集合体で構成されるハイドロゲルとなることが分かった。以上より、セルロースオリゴマーとその誘導体の酵素合成手法を確立するとともに、水中においてそれらを自己組織化させるための予備知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水溶性セルロースの加リン酸分解酵素を触媒として利用することにより、セルロースオリゴマーはもとより、様々な誘導体を酵素合成できることを明らかにした。また、セルロースオリゴマーをアルカリ水溶液とし、これを酸により中和するだけの単純な手法により、高度に発達したセルロースオリゴマーの自己組織化物が得られる予備知見も得た。酵素の再利用については十分な成果は得られていないが、それ以外については当初の計画通りに進展していることから、このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
自己組織化の際にセルロースオリゴマーまたはその誘導体をアルカリ水溶液に溶解させる必要があるが、その際に好ましくない化学反応(分解等)が起こる可能性がある。したがって、そのような反応ができる限り起こらない実験条件を心掛けるとともに、自己組織化前後における化学構造の変化について、適宜、確認しながら研究を進めていく。また、他の生体分子とは異なるセルロースの魅力的な特徴(化学的安定性や力学物性など)を活かすことを意識しながら機能性ゲル材料を創製していく。
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Research Products
(27 results)