2018 Fiscal Year Annual Research Report
高分子/水界面の動的構造制御とバイオイナート材料への展開
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18H02037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松野 寿生 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50376696)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 界面 / 分子鎖凝集状態 / 水 / 動的構造 / バイオイナート |
Outline of Annual Research Achievements |
温度応答性高分子は、外部刺激である温度変化に応じてその凝集状態が変化することから、細胞シート作製用スキャホールドなど水界面の制御法として注目されている。本年度は、水界面における温度応答性高分子の膨潤挙動を界面張力波の特性長の温度依存性を考察することで、理解することを目的とした。 モデル高分子として、感温性ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド-r-ブチルアクリレート)(P(NIPAM-r-BA))、その非溶媒として、水を用いた。P(NIPAM-r-BA)薄膜は、シリコンウェハ上にスピンコート法に基づき製膜した後、真空下、426 Kにおいて、12時間熱処理を施した。水中での降温過程における表面形態は、原子間力顕微鏡(AFM)観察に基づき評価した。AFM形状像を高速フーリエ変換処理し円環平均することでPower spectral density (PSD)を求め、その温度依存性を評価した。また、参照資料として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)薄膜を用いた。 AFM形状像において、P(NIPAM-r-BA)薄膜表面は、降温に伴い曇点近傍において顕著に粗くなる様子が観察された。一方、PMMA薄膜表面の粗さは温度によらずほとんど変化しなかった。PSDの温度依存性プロットにおいて、PMMA薄膜の場合、明確なピークは測定温度によらず観測されなかった。一方、P(NIPAM-r-BA)薄膜では、いずれの温度においてもピークが観測された。各ピーク位置から水界面における界面張力波の特性長(L)を算出した結果、310.0-299.0 KにおいてはLが約800 nmとほぼ変化せず、曇点近傍の299.0-298.0KにおいてはLが約600 nmまで急激に減少するを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のとおり、水界面におけるP(NIPAM-r-BA)薄膜の界面張力波に基づく解析を達成した。また、オキシエチレンビニルエーテル誘導体薄膜の安定化に成功し、さらには、これを用いた細胞付着特性制御法の新たな可能性を見出しており、おおむね順調に推移していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に則り継続して進める。
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Research Products
(6 results)