2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of artificial photosynthesis system driven by interfacial photo-excitation process
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18H02055
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮内 雅浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (60443230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光触媒 / 半導体 / 可視光 / 界面電荷移動 / 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノクラスター/半導体複合体における界面電荷移動遷移(Interfacial Charge Transfer: IFCT)を用い、有用な化学物質を生み出すエネルギー製造型の可視光応答光触媒を開発することを目的としている。IFCTとしては、半導体価電子帯からクラスターへの遷移(Band to Oxidant Charge Transfer: BOCT)と、クラスターから半導体伝導帯への遷移(Reductant to Band Charge Transfer: RBCT)があり、これらの遷移を使った人工光合成システムへの展開を目指している。これまでの検討で、Cr(III)-SrTiO3において、RBCT遷移により有機物が分解する現象が得られており、2019年度はこの複合光触媒の作用機構を証明するため、光照射下での電子スピン共鳴分光(ESR)をおこなった。この結果、暗所にてCr(III)に由来するESRシグナルが検出された一方、可視光を照射するとこのCr(III)のシグナルが減少するとともに、SrTiO3の伝導帯に励起した電子のシグナルが出現した。この結果はCr(III)クラスターにある電子が界面を通してSrTiO3の伝導帯に励起されるRBCT遷移の証明となり、論文がAppl. Catal. B Environ.誌に受理された。しかしながら、このCr(III)-SrTiO3は有機物分解の反応には活性を示す一方で、水素生成や二酸化炭素の還元には至らなかった。 こうした状況の中、Cu(II)を担持したTiO2におけるBOCTの励起現象を用いて水分解を試みたところ、可視光で水素が生成することを見出した。そもそもIFCTによる水素生成の報告例が無いため、来年度以降は遷移方法をRBCTに限定せず、BOCTにも拡大して水素生成や二酸化炭素の還元に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cr(III)-SrTiO3におけるRBCT遷移をIn-situ ESRの分析によって証明でき、論文を発行できた一方、この材料では水素生成や二酸化炭素還元には至らなかった。しかしながら、Cu(II)-TiO2におけるBOCT遷移により可視光の照射で水素が生成することを見出した。IFCTによって水素が生成する光触媒は初めての事例であり、新しい人工光合成システムへの発展につながる結果が得られたことは、着実な進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、RBCTおよびBOCTの反応サイトを可視化するため、粉末触媒の構造を模したパターン薄膜をパルスレーザー堆積法ならびにフォトリソグラフィ―法で製膜して解析に用いる。パターン薄膜に励起光を照射しながらケルビンプローブ顕微鏡を観察し、膜の仕事関数の変化をもとにヘテロ界面の電位差や光励起キャリアの移動距離等を明らかにする。こうして得られた知見を粉末光触媒や粉末を塗布した電極の設計にも役立てる。更に、BOCTをカソード側、RBCTをアノード側に配置したZスキームシステムの構築を検討し、IFCTで駆動する人工光合成システムの開発を進める。
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Research Products
(8 results)