2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of artificial photosynthesis system driven by interfacial photo-excitation process
Project/Area Number |
18H02055
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮内 雅浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (60443230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光触媒 / 半導体 / 可視光 / 界面電荷移動 / 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノクラスター/半導体複合体における界面電荷移動遷移(Interfacial Charge Transfer: IFCT)を用いた可視光応答光触媒を開発することを目的としている。IFCTとしては、半導体価電子帯からクラスターへの遷移(Band to Oxidant Charge Transfer: BOCT)と、クラスターから半導体伝導帯への遷移(Reductant to Band Charge Transfer: RBCT)があるが、これまでの粉末系の検討により、Cr2O3/SrTiO3においてRBCT遷移が示唆されている。2020年度は、パルスレーザー堆積法とフォトリソグラフィー法によりパターン化したCr2O3薄膜をSrTiO3基板上に製膜し、可視光照射下での仕事関数の変化をケルビンプローブ顕微鏡(KPFM)で観察した。この結果、可視光を照射するとCr2O3膜上の仕事関数がシフトしたことから、Cr2O3からSrTiO3に電子が注入されていることが示唆された。比較試料として石英基板にCr2O3を製膜したサンプル、Cr2O3を製膜しないSrTiO3基板、ならびにCr2O3膜とSrTiO3基板の間に酸化アルミニウム(Al2O3)やシリカ(SiO2)の薄膜を介在させた場合、いずれも可視光を照射しても仕事関数の変化が見られなかったことから、SrTiO3に注入された電子の供給源はCr2O3の価電子帯の電子であることが示唆された。また、可視光照射による仕事関数のシフトにはCr2O3の膜厚依存性がみられ、膜厚が2nmと薄い場合にシフトが顕著であったことから、電子遷移がCr2O3とSrTiO3の界面で起こっていることが示唆された。ナノ粒子では観察が困難であった異種半導体間の電荷移動が、パターン化した薄膜とケルビンプローブ顕微鏡技術によって明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cr2O3/SrTiO3におけるRBCT遷移をKPFMの解析によって実証することができた。一方、パターン化薄膜における化学反応サイトの可視化について、海外からの研究者の協力のもとで実施を2020年度に予定していた。新型コロナウイルス感染拡大のため協力研究者の来日が遅れていたが、2020年度の途中から研究協力者が来日を果たし、計画から少し遅れてはいるものの、予定通り研究を進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はCr2O3/SrTiO3パターン化薄膜における化学反応サイトを可視化することで、RBCT遷移による化学反応の詳細なメカニズムを明らかにする。具体的には、光触媒反応で析出する微粒子を原子間力顕微鏡で観察することで、パターン化膜における酸化サイト、ならびに、還元サイトを特定し、粉末光触媒の設計指針となるような知見を得る。パターン化膜を水溶液に浸漬し励起光照射下のもと、酸化反応はマンガンイオンから酸化マンガンの析出、還元反応は金イオンから金を析出させ、酸化マンガンや金の析出する場所によって酸化サイトと還元サイトを特定する。
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Research Products
(7 results)