2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research and development of novel plasmonic nanocatalyst for CO2 conversion
Project/Area Number |
18H02065
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
葉 金花 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (90230630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 忠昭 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (40267456)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金属触媒 / 表面プラズモン共鳴 / 太陽光利用 / 二酸化炭素の活性化 / 二酸化炭素の資源化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二酸化炭素の資源化に向けた耐熱合金プラズモニックナノ触媒の創成を目的としている。当初の研究計画に沿って新規プラズモニックナノ触媒の設計・創製および二酸化炭素の活性化・燃料化におけるメカニズムの究明を行ったところ、多くの重要な知見を得ることができた。 1)VIII族金属Cuナノ粒子の光熱変換能力を維持しつつ、触媒反応のさらなる活性化を図るために、第二の元素を取り入れた合金プラズモニックナノ触媒の設計・創製を行った。その結果、4%のCuをNiで置き換えたNiCu合金触媒では、光誘起熱変換の温度がCu金属触媒と大差がないにもかかわらず、触媒反応においては2倍以上の活性を示し、太陽光から燃料への変換効率が3.8%に達した。種々実験計測および理論計算を駆使したメカニズム研究により、Cuナノ粒子から生成された熱電子が、Ni原子に移動し、電荷キャリアの分離を促進したと共に、吸着分子の活性化を促したことが明らかとなった。つまり、バイメタル触媒上では、表面プラズモン共鳴の励起による光熱変換とホットキャリア生成が相乗効果を発揮し、触媒反応の高活性をもたらした。なお、本研究成果は触媒分野の国際ジャーナルAppl. Catal. B: Environ., 272 (2020) 118965に掲載された。 2)安価な遷移金属Fe粒子から、高活性な単原子触媒の創製および固定をトップダウン手法で世界で初めて成功した。このように調製した触媒ではFe-N4O活性点がCO2分子の化学吸着を促進すると共に、中間体COOH*の形成障壁を低下させるため、 CO2の還元およびCOへの変換において従来の報告を大きく凌ぐ高いTON数(1494)および選択性(86.7%)を達成した。なお、本研究成果は化学分野のトップジャーナルJ. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 19259に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに新規金属・合金プラズモニックナノ触媒の設計・創製、表面・界面構造制御、および二酸化炭素の活性化・燃料化におけるメカニズムに関する研究を行ってきたところ、すでに多くの成果をあげることができた。特に以下の点において極めて重要な知見を得た: 1)プラズモニックバイメタル合金触媒NiCuの合成に成功し、その優位性を明らかにした。また、合金における各々の元素の果たす役割を解明し、今後の高活性プラズモニック合金触媒の設計・開発に重要な指針を与えた。 2)Fe単原子触媒の簡便な創製法の開発に成功し、また、表面活性点におけるCO2の吸着、活性化、およびCOへの変換プロセスに関し、詳細な情報を得ることができた。 これらの成果はCO2等小分子の低温活性化、燃料化の実現に極めて重要な知見であり、よって本研究課題の進捗は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を推進していく予定である。具体的には以下の3つの研究項目に分けて研究を進める: 1)新規耐熱合金プラズモニックナノ触媒の創製:これまでの研究で見出したNiやCuなどの遷移金属を中心に、第二の元素を取り入れた金属・合金を最適化し、高いプラズ モン共鳴効果および触媒反応効果を併せ持つ耐熱性ナノメタルを設計・創製する。金属(合金)ナノ粒子のサイズ・形態・分布等を制御した合成を行い、多角分光計測等による物性計測と時間領域差分法(FDTD)、厳密結合波理論(RCWA)を併用し、プラズモン共鳴によるナノ粒子の表面温度やホットキャリアの強度、表面局在電磁場分布について評価を行う。 2)表・界面構造制御によるプラズモン共鳴の増強: 引き続きナノ金属を担持する担体の組成&形態の制御を行うことにより、担体の構造的・物理化学的特性が二酸化炭素等反応分子の吸着・活性化への影響について系統的に研究し、SPR効果を最大限に引き出せる新規ナノ構造体触媒の創出に供する。また、ナノ金属と担体の界面制御によるフォノン振幅の増幅、分子振動励起状態の増強および反応性の向上についても系統的な知見を得る。 3)プラズモン共鳴による二酸化炭素の活性化メカニズム究明: 引き続きその場フーリエ変換赤外分光光度計や電子スピン共鳴などを駆使し、二酸化炭素の活性化・資源化における詳細なメカニズムを研究する。光照射に伴う二酸化炭素の吸着状態や反応中間物の変化、また変換効率および生成物の選択性における照射波長の依存性やナノ金属のプラズモン共鳴との相関について明らかにする。 また、本研究で開発したプラズモニックナノ触媒を用い、CO2の資源化のみならず、メタンの転換反応など他の触媒反応による有用な物質の合成にも検討し、太陽光利用プラズモニックナノ触媒の有用性・優位性を明らかにする。
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