2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of hydrogen membranes based on hydride ion conductors
Project/Area Number |
18H02066
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 芳尚 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50360475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 玄器 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (30609847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒドリドイオン伝導体 / 金属窒化物 / 金属酸水素化物 / メンブレンリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
新な金属窒化物ヒドリド伝導体として、Eu3O4型Zr3N4、および岩塩型VNの二つの材料を見出した。Zr3N4薄膜はZr金属をターゲットとした反応性スパッタ法により基板温度100℃で作製し、低結晶性の薄膜として得られた。Zr-K端のEXAFS測定から得られるZr原子の配位構造は、Eu3O4型構造の配列によくフィットし、よって構造が同定された。Operando XAFS測定から、Zr3N4は300℃にて水素雰囲気にさらすと容易に水素化が起こり、その結果Zrの価数は高酸化状態へと変化することを確認した。従ってZR3N4は水素が電子アクセプターとして導入され、ヒドリドイオン欠陥を生成することが確認された。 Zr3N4の膜厚方向の抵抗を、Ar⇒H2⇒D2の様に変化させて測定した。その結果ArからH2に雰囲気を切り替えると抵抗が増加し、更にD2に切り替えると抵抗が約1.3倍増加した。この値はD/Hの質量比の平方根に等しいことから、H2雰囲気ではヒドリドイオン伝導を示すことが示された。 岩塩型VN薄膜はV金属ターゲットを用いた反応性スパッタ法により作製した。得られた薄膜は透過電顕やXRDにより、微細構造を調べた。この薄膜はTiN同様高い水素透過性を示した。 La-Li-O-H系金属酸水素化物の粉末ペレットを加圧成型し、その両面に微結晶TiN薄膜電極を蒸着してTiN/La-Li-O-H/TiNセルを構築し、水素のポンピング実験を行った。その結果ほぼファラデー則に従った水素ポンピングが観察され、電気化学的膜セルの作動が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画での目標は、1)新たな金属窒化物ヒドリド伝導体を2つ以上見出すこと、また2)ヒドリド伝導性金属水素化物およびNi金属を複合したサーメット、またはヒドリド電子混合電度制金属窒化物薄膜による水素透過膜作製、以上2点をとした。 1)に対し、本年度はEu3O4型Zr3N4、および岩塩型VNの二つの新規ヒドリド伝導性金属窒化物材料を見出した。Zr3N4薄膜は300℃にて水素雰囲気にさらすと容易に水素化が起こり、ヒドリドイオン欠陥を生成することが確認された。更にインピーダンス法により、このヒドリド欠陥が300℃付近にて薄膜内を伝導することも確認した。またVNについては、多孔質基板上に製膜することにより膜デバイスを作製し、その水素透過性を直接観察することに成功している。 2)に関し、上記の様にVN膜を用いて水素透過膜デバイスを作製することに成功している。またLa-Li-O-H系金属酸水素化物の粉末ペレットを加圧成型し、その両面に微結晶TiN薄膜電極を蒸着してTiN/La-Li-O-H/TiNセルを構築し、水素のポンピング実験を行った。その結果ほぼファラデー則に従った水素ポンピングが観察され、電気化学的膜セルの作動が確認された。従って2)の目的もほぼ達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、窒化バナジウムおよび窒化ジルコニウムのナノ薄膜が、高いヒドリドイオン伝導性を示すことを見出した。そこで本年度は、これらの膜の基礎物性をさらに調べ、またこれらを用いた膜リアクターを作製し、二酸化炭素還元反応への効果を調べる。具体的な項目を以下に述べる。 1)Zr3N4およびVNナノ結晶薄膜のヒドリドイオン伝導率の向上: 粒径サイズ制御、および窒素欠損量の調整によるヒドリド欠陥サイトの増加,および異種金属元素ドーピングによるサイト間ボトルネックの拡張などを検討する. 2)Ln2-x+ySrx+yLiH1-x+yO3-y (Ln = Ce, Pr, Nd, Sm)サーメット焼結体の作製: 昨年までに、Ln2-x+ySrx+yLiH1-x+yO3-yとNi金属を混合し、水素雰囲気下で加圧焼結することにより緻密体の作製を試みたが、Ln2-x+ySrx+yLiH1-x+yO3-yの加熱分解が抑えられず、望ましい緻密体は得られなかった。そこで本年度は、ヒドリド伝導性は比較的小さいが、熱力学安定性の高いNaxBa2-xBH1+xO3-x (B = Sc, Y)を用いて、サーメット 焼結体の作製を検討する。 3) metal | MN | 多孔質触媒層-膜リアクタの作製: ナノ結晶性金属窒化物膜を、二酸化炭素還元に有効な銅触媒を担持したBaZrY0.2O3系多孔質サーメット基板上に作製し、さらにその表面にNi微粒子水素乖離触媒を蒸着して膜リアクターを構築する.このNi微粒子側に水素、多孔質側に二酸化炭素を供給し、二酸化炭素のメタン再資源化反応を検討する.
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