2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of hydrogen membranes based on hydride ion conductors
Project/Area Number |
18H02066
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 芳尚 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50360475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 玄器 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (30609847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒化ジルコニウム / ヒドリドイオン欠陥 / ヒドリドイオン伝導体 / 水素透過膜 / 低炭素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドリド伝導性メンブレンリアクターの創成を目指し、新規金属窒化物ヒドリド伝導性膜の作製および評価を行った。前年度までの研究成果により、斜方晶系ZrNxの多結晶膜を作製し、その水素透過性を確認した。本年度は、第一の目標としてこの水素透過性が粒界ヒドリドイオン伝導によることを確認すること、第二の目標としてそれを用いたCO2還元反応に対する基礎的知見を得ることにした。 第一の目標に対し、porous-Pt/ZrNx/Pt-Siサンドイッチデバイスを作製し、水素中およびAr中での電流緩和を確認した。その結果Ar雰囲気にて定電圧を印可したとき、フラットな電流応答を示すのに対し、水素雰囲気で定電圧を印可すると、その正・負の無機に応じた、電流緩和を示した。porous-Pt側に正の電圧を印可すると、電流は指数関数的に増加し、一方負の電荷を印可すると指数関数的に減少した。これは水素雰囲気下においてZrNx中に負の電荷をもったアクセプターイオンが存在することを示しており、よって可動ヒドリドイオン欠陥の生成を確認した。 第二の目標として、多孔質アルミナ基板上にCuO微粒子を含侵法により担持し、さらにその基板表面にZrNx膜をスパッタ蒸着法で作成し、さらにその上にRh金属微粒子層をスパッタ蒸着してメンブレンリアクターを作製した。多孔質基板側にメタンを供給し、またRh側にCO2を供給し、400℃で反応させた。その結果ZrNx膜はメタンカップリングによって生じた水素をCO2サイドに供給し、それを使ったCO2還元を行えることを確認した。従ってZrNx膜によるCO2還元を比較的低温で実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究予定では、2年目までにヒドリドイオン伝導体水素透過膜を用いたモデル反応系を選定することを目標としていた。本研究では以下の成果に基づきこの目標をクリアしたといえる。 1.ジルコニウム窒化物ZrNxの多結晶膜において水素透過性を確認した。さらにこれを水素透過膜に用い、さらにCuO触媒微粒子担持多孔質アルミナ基板を組み合わせた膜リアクターを作製した。 2.上述のメンブレンリアクターを用いて、水素透過膜表面にCO2水素還元触媒であるRh微粒子層を蒸着し、以下の反応系を構築した。 アルミナ側: 2CH4 → C2H4 + 2H2; Rh側: CO2 + H2 → CO +H2O 以上からZrNx膜を用いたメンブレンリアクターは、メタンとCO2から有用化合物を合成するプロセスに適していることが示された。以上から、本研究計画は、順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の第一の目標は、CH4直接カップリング反応およびCO2還元反応に最適なヒドリド伝導性膜を見出すこと、また第二の目標はそれにより両反応の効率を5%程度まで向上させることである。 第一の目標として、CO2還元反応に対しヒドリド伝導性ZrNxを担体とした触媒が有効であることを立証する。具体的には、大面積SiO2板上にZrNxを蒸着し、さらにRh金属を蒸着した後、粉砕して粉末とし、これにCO2およびH2混合ガスを流通させ、触媒反応を行う。比較としてZrNx蒸着層の無い触媒(Rh/SiO2)でも同様な実験を行う。両者の比較からZrNxの有効性を立証する。さらにTiNxやNbNx等、1年目に見出したヒドリド伝導性膜材料も同様の実験を行い、最も触媒活性の高い窒化物を選定する。 第二の目標に対し、上述の検討で得られた窒化物を水素透過膜として、メンブレンリアクターを構築し、多孔質アルミナ支持体側でメタンカップリング反応、またRh担持膜表面でCO2還元反応を行い、効率向上を目指す。具体的には、CO2還元反応はRh/MNx/気相-三相界面で進行するため、この界面長拡大がカギとなる。そこでMNx膜とRh金属層の間に、Rh-MNxナノ複合層を、コスパッタ法により形成し、反応面積の拡張を図る。これによりCO2転換率5%以上を達成する。またアルミナ側でのメタンカップリング反応の効率を上げるために、CuOに代わりNi微粒子担持TiOxHyナノシートを含侵法により固着し、効率向上を図る。
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