2018 Fiscal Year Annual Research Report
電極-固体電解質相におけるイオン輸送と化学状態の同時その場解析
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18H02077
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
増田 卓也 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, グループリーダー (20466460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電気化学 / その場測定 / X線光電子分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
電圧を印加した状態で固体表面を測定することが可能な特徴的なX線光電子分光測定装置を開発した。さらに、大気中に含まれる水分との反応による試料劣化を抑制するため、アルゴン雰囲気のグローブボックスと超高真空装置の間を大気非暴露で試料搬送するための独自の機構を開発した。以上の装置・機構を組み合わせることによって、(1)グローブボックス中において固体試料の電圧印加部位と試料ホルダの電極端子を結線した状態で試料をホルダに固定する、(2)グローブボックスと接続されたバキュームスーツケースに試料ホルダを格納し、ゲートバルブによって内部をアルゴン雰囲気として封止する、(3)バキュームスーツケースをX線光電子分光測定装置の試料導入室と接続し、バルブを徐々に開き、両者を高真空状態にする、(4)試料ホルダをバキュームスーツケースから試料導入室の自動ステージに移動し、自動ステージの駆動機構によって測定室の分析ポイントまで搬送する、(5)試料ホルダの電極端子と測定室の電極端子が自動的に接続するように設計されているため、フィードスルーを通して装置外部から試料への電圧印加が可能となる、といった仕組みで、嫌気性の全固体電池試料に電圧を印加した状態でX線光電子分光測定を行うことができる。こうした「オペランドX線光電子分光測定システム」を用いて、いくつかの電池試料を対象とした実証試験を行い、装置が期待通りの機能を持つことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基盤となる装置の故障のため、予算の一部を繰り越し、2019年3月時点では測定システムの完成が遅れることとなった。しかし、2020年3月時点では装置が完成し、この原理実証に成功したほか、薄膜型電池を用いた計測を実施するなど、当初見込んでいた進捗状況まで巻き返すことが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
広範な電池系への展開を図り、イオン輸送の支配因子や反応機構の解明を目指す。高性能な新しい電池材料の開発指針の獲得に加えて、電池のデバイス構造やプロセス技術の最適化に資する情報を取得する。
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