2018 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集と化合物による細胞内在性タンパク質操作技術の開発
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18H02086
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 局在性リガンド / ゲノム編集 / 細胞内在性タンパク質 / タンパク質工学 / シグナル制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者の独自技術である「局在性リガンドによるタンパク質局在制御技術(SLIPT)」と「ゲノム編集技術」を融合し、タグタンパク質をノックインした内在性タンパク質の局在を化合物(局在性リガンド)で制御する基盤技術を確立する。本年度は、下記の成果を達成した。 1)高汎用的な新規eDHFRタグの開発。我々はこれまでに、大腸菌ジヒドロ葉酸還元酵素(eDHFR)のN末端にLys残基の6回繰り返し配列を付加した「K6-eDHFRタグ」を開発している。これをタグタンパク質として標的タンパク質のN末端に融合すると、局在性リガンドmDcTMPの添加によってK6-eDHFR融合タンパク質を細胞質から細胞膜へ特異的に移行させることができる。しかし、このK6-eDHFRタグは標的タンパク質のN末端でしか機能せず、タンパク質のC末端に導入すると細胞膜特異性を失う。そこで今回、eDHFRの結晶構造に基づいたプロテインエンジニアリングを展開し、標的タンパク質のN末端、C末端、さらにはドメインードメイン間に融合しても細胞膜特異的な局在移行を実現する高汎用的な新規eDHFRタグを開発することに成功した。 2)内在性タンパク質のC末端へのノックイン法の確立。CRISPR/Cas9による部位特異的ゲノム切断とゲノム修復機構を利用することで、内在性タンパク質のC末端にin-frameで上述の新規eDHFRタグをノックインする手法を確立した。 今後、これらの要素技術を統合することで、内在性タンパク質の局在制御技術ならびにその蛍光イメージング技術の開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本年度は当初予定していたゲノム編集の立ち上げが順調に進行し、内在性タンパク質のC末端に外来遺伝子をノックインするための実験系を構築することに成功した。今後さらなるプロトコルの改良が必要ではあるが、eDHFRでタグ付けした内在性タンパク質の発現細胞が得られており、次年度に繋がる大事な基盤を構築できた。また、本年度開発した新規eDHFRタグは、標的タンパク質のN末端、C末端、さらにはドメインードメイン間に融合することができるため、内在性タンパク質の局在制御はもとより、SLIPTによる細胞内シグナル操作体系の拡張における極めて有用な基盤ツールとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度開発した新規eDHFRタグを活用して、内在性タンパク質のN末端やC末端へのノックインを展開していく。さらに、化合物(局在性リガンド)の改良にも取り組み、内在性タンパク質の局在制御を実現できる汎用的な基盤技術(CRISPR-SLIPT技術)の構築を目指す。
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Research Products
(17 results)