2018 Fiscal Year Annual Research Report
3Dドメインスワッピングに基づく蛋白質多量体の生体内形成と新規デザイン
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18H02088
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
廣田 俊 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90283457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質 / 超分子 / 多量体 / 3Dドメインスワッピング / ヘムタンパク質 / タンパク質デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ウマシトクロムc、好熱菌シトクロムc552、緑膿菌シトクロムc551などのc型シトクロムの生体内での多量体形成を調査するため、各タンパク質にヒスチジンタグを付加させた。好熱菌シトクロムc552に、タンパク質合成と同時にタンパク質をサイトプラズムからペリプラズムへ輸送するシグナルペプチドDsbAssを付加させた時とタンパク質合成の完了後にタンパク質をペリプラズムへ輸送するシグナルぺプチドPhoAssを付加させた時で、大腸菌の発現系から得られるタンパク質多量体量は大きく変化しなかったことより、シトクロムc552はシグナルペプチドの種類に依存せず多量体を形成することが明らかとなった。常温菌シトクロムc′は5配位ヘムを有し、酸化型ではホモ2量体を形成するが、還元型へのCO結合により単量体へ解離する。一方、常温菌シトクロムc′と相動性が高い好熱菌由来シトクロムc′は、酸化型及び飽和CO溶液中での還元型の両状態でホモ2量体を形成する。常温菌シトクロムc′の2量体の構造安定性に寄与するPhe11とThr18を常温菌シトクロムc′の相当する残基Thr11とPhe18に置換した変異体は、CO結合により単量体へ解離した。CO依存的2量体-単量体遷移特性を示す安定なタンパク質が構築できたことより、3Dドメインスワッピングを利用した高次タンパク質構造体の構築が期待される。さらに、シトクロムc、ミオグロビン及び関連するヘムタンパク質のドメインスワッピングに関する総説を執筆した。総説では、ヘムタンパク質のドメインスワッピングがタンパク質フォールディングの初期段階で起こることを示し、ナノリング、ケージ、異なる活性部位を有するヘテロダイマー、リガンド結合による可逆的単量体-多量体平衡を示すタンパク質など、ドメインスワッピンを利用した、様々なヘムタンパク質構造体の構築について紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウマシトクロムc、好熱菌シトクロムc552、緑膿菌シトクロムc551にヒスチジンタグを付加させることに成功し、生体内での多量体形成量を定量することが可能となった。また、シトクロムc552の生体内での多量化はシグナルペプチドの種類に大きく依存しないことが明らかとなった。さらに、ヘムタンパク質の3Dドメインスワッピングに関する総説を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒスチジンタグを付加した、正に帯電したウマシトクロムc、好熱菌シトクロムc552、負に帯電した緑膿菌シトクロムc551を用いて、タンパク質の表面電荷が生体内での多量化に与える影響を調べる。さらに、銅タンパク質アズリンなど、他の金属タンパク質の多量化について検討する。また、金属タンパク質ではない24量体フェリチンの多量化についても検討する。
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