2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平井 剛 九州大学, 薬学研究院, 教授 (50359551)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シアル酸 / シアリダーゼ / 阻害剤 / C-H挿入反応 / グリコシル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、新規シアル酸誘導体が効果的なシアリダーゼ阻害剤となることを見出している。これまでの本シアル酸誘導体の合成は、シアル酸に施した修飾が要因となり、その効率が低く、工程数を要していた。昨年度に引き続き本年度は、これらを解決できる新たな効率的合成法の確立に取り組んだ。その基本方針は、最終段階で鍵となるシアル酸修飾の置換基を構築する手法を見出すことである。合成終盤での置換基変換は、多糖構造の分解などを防ぐため、穏やかな条件下で実施できる前駆体を設定する必要がある。この前駆体をその足がかりとなる置換基Aをもつシアル酸誘導体と、アクセプター糖鎖とをグリコシル化で連結して合成しようと計画した。本年度は、昨年に引き続き、この置換基Aを導入したシアル酸誘導体を合成することを検討した。 当初は、C-H挿入反応を鍵反応として設定した。しかし、昨年度は目的とする挿入体を得ることができなかった。主な副反応は、5位NHAc基とのN-H挿入反応であったことから、本年度は5位置換基を種々変更し検討したが、目的物は全く生成しなかった。 そこで、本年度中盤から戦略を変更し、酸化的なラジカルカップリングによる置換基Aの導入を検討した。その結果、酢酸マンガン(III)を用いると酢酸やマロン酸エステル類をシアル酸に導入することが可能であることを見出し、鍵となるシアル酸修飾の足がかりをわずか4工程で実現することができた。カップリング反応のパートナーを工夫し、まずはチオグリコシル化反応を検討したところ、導入した置換基Aの効果によって、チオグリコシル化反応は目的とするα体のみを与えることも見出した。このことから、ポイントの1つであるアクセプター糖鎖とのグリコシル化が、置換基Aによって立体選択的に進行することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題であったシアル酸修飾法を確立でき、さらにその後のグリコシル化反応の立体選択性に関する知見を得ることができ、昨年度の遅れを取り戻すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、多糖化に向けた具体的な検討に取り組んでいく。現時点で、これまでの合成法と比べ、大幅に工程数を削減できており、理想通りに進んでいる。多糖化に向けて、グリコシル化反応を実現していきたいと考えている。
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Research Products
(18 results)